
私は、綿棒のようなじゃがいもです | ショートショート #15
「私は、綿棒のようなじゃがいもです」
鏡の前で、私は声を出して面接の練習をしていた。
私の名は、ぽていとぽたあと。
池袋にある『Tiara』というプリンセスパフェの店で、長年シャンデリアの清掃員をしているじゃがいもだ。
きらびやかな店内の雰囲気、店を訪れるプリンセスたちの楽しそうな様子、迫力あるビジュアルのパフェ(じゃがいもの私からすれば)。
私は、その世界の一員として働く自分に誇りを持っている。
しかし残念ながら、その『Tiara』は9月30日で閉店してしまう。
しばらくはショックでふさぎ込むほどだったが、閉店を前に大阪からヘルプで来たというハギワラさん……いやオギワラさんだったかな、という女性が、素晴らしい情報を教えてくれた。
なんと『Tiara』のオーナーの息子さんが、大阪に『Patisserie Éclat』というケーキ屋をオープンするらしいのだ。
スタッフも随時募集しているらしい。
これだ、と思った。
シャンデリアはなくても、照明はあるだろう。私は、照明の清掃がとにかく得意なのだ。雇ってもらえるかもしれない。
行こう、大阪に。
幸いハギワラさん(オギワラさん?)は「店長、よくわかんないけど綿棒がすごい好きなんですよー」という雑な情報も教えてくれた。
ということで、面接の準備をしているわけだ。
面接は第一印象が大切だ。
私は、店長が好きだという綿棒に賭けることにした。
「私は、綿棒のようなじゃがいもです」から始まる自己紹介を、以下の3パターン考えた。
パターン① ― 私は、綿棒のようなじゃがいもです。
細かいところが気になって、ついほじくり返してしまいます。
これは清掃員として、何より役に立つスキルでもあります。
どんな小さな隙間に入り込んだホコリも、見逃しません。
パターン② ― 私は、綿棒のようなじゃがいもです。
だいたい誰かの役には立つのですが、主役になることはありません。
ケーキ屋でじゃがいもが主役になるのはおかしいですから、ぴったりの人材……もとい、素材と言えるでしょう。
パターン③ ― 私は、綿棒のようなじゃがいもです。
見た目から想像される役割と、実際の役割が違います。
綿棒といえば耳掃除。でも「耳の穴には入れないでください」と注意されています。
私もじゃがいもだからといって、皿の上にのる必要はありません。シャンデリアの上にいたっていいのです。
うーん。自分の強みを押し出すなら、やっぱり①かなあ。
皆さん、どれがいいと思いますか?
* * *
おはようございます。
ぽていとぽたあとです。
なんのはなしですか?
自分で書いていても、何が何やら。
みちよさんの妄想から始まった『Tiara』というカフェについての継ぎ妄遊びが再び盛り上がっているので、参加してみましたよ。
夢ぺんぎんさんの記事へのコメントで、プリンセスな継ぎ妄が思いつかなくて苦し紛れに「お店で清掃係をしているじゃがいもです」と書いたので、そこから広げてみました。
『Tiara』ネタ元:
継ぎ妄の猛者たち:
(ご紹介もれがあったら、すみません)
なんで綿棒?:
「継ぎ妄」って何?(手前味噌):
🥔・🥔・🥔
ほかにも、自由なスタイルでショートショートを書いています。
よければお読みくださいね。