
短編小説 : 「涼しい夜」と「落とし物の持ち主」へ行こう | シロクマ文芸部 | 拝啓文芸部
「『涼しい夜』へ行こう」
「うん、待ってた」
はじめまして、HALWRDと申します。というわけで、素敵なカップルが腕を組んで歩き始めました。noteお題が出ましたら、それをすべてレストランの店名にしてしまう短編小説シリーズになっております。
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今回は「涼しい夜」という名のレストランへ二人は向かっています。ええと、女性の方は夢魔です。この物語は彼女の夢の中という設定でして、しかも、彼女は夢魔であることを自認していない。自分は普通の女の子だと思っています。
すみません……このあたりは過去作「「秋の空」へ行こう | シロクマ文芸部」を読んでいただきたいです。なんかこの夢魔ちゃん、不倫相手とデートしてると思い込んでるみたいです。 思い込みって怖いです。
男性の方は、毎回違う方がその夢魔ちゃんに襲われてしまうという設定です。
これまで何名の殿方が襲われましたか
ひい、ふう、みい、よう、いつ……
六名ですね。
二人はレストランで食事したあとにホテルへ向かいます。そこで男女の営みがなされて、殿方は精も魂も吸い取られてしまいます。少し、うらやましいです。
二人が歩みを進めるといつもの光景が現れます。老夫婦が「今度は涼しい夜じゃ」とかすれ声を漏らしていました。スーツ姿のサラリーマンは眠っているようです。OL風の二人は「涼しい夜ね……」と笑みを浮かべていました。
殿方がいつものセリフを言わされます。
「楽しみだね、noteのお題企画かなにかかな?」
老夫婦とOLは夢魔の使い魔らしいです。スーツ姿の男性は、夢魔の被害者かもしれません。
そして、到着します。
「トラットリア『涼しい夜』へようこそ! 本日のランチは、気まぐれアマトリチャーナです」
「それ、二つください」
二人は食欲を満たしたのちに性欲を貪りにゆきます。ところで、「夢」を見ていらっしゃいますか? 人は一生にいくつの夢を見るんでしょうか。人格破綻者は夢を見ないそうです。欲望が無いのなら、そうなってしまいます。
望みがあるから夢を見るのだと思います。
望みは夢の中で叶っている、フロイトはそう言っていたと思います。僕も同意しますが、それが叶っていても繰り返される夢、というのに興味を惹かれます。
繰り返される夜を、どう解決すればいいか。
それは、解決を望まないという、叶いなのかなとも思います。
***
「『落とし物の持ち主』へ行こうよ」
「うん」
私たちはそこへ向かって歩き出してしまう。