
冬のエギングは釣れる|水温16度・水深10m・夜の3つを重ねろ
よう、未来のエギングマイスターたち。
12月に入って浅場の反応がぱったり消えると、「今年はもう終わりだ」と竿をしまう奴が増える。先に答えておく。冬のエギングは釣れる。イカは死んだわけじゃない。昼間は深いところにいて、条件がそろった晩だけ岸に寄ってくる。
ただし、秋と同じつもりで行くとボウズ(1杯も釣れないこと)を食らう。秋は歩けば当たる釣りだった。冬は歩き回っても当たらない。当たる日と場所と時間を選んで、そこで待つ釣りだ。
冬のエギングは、水温16度・水深10m・夜の3つが重なった晩に釣れる。水温で日を選び、水深で場所を選び、暗くなるのを待て。
この記事では、その3つを判定する手順と、冬に投げるエギ、風の中でエギを底まで届ける方法、冬の海で守る安全までを順に渡す。
01. 冬のエギングは釣れる。水温16度・水深10m・夜の3つを重ねろ

先に答えを置く。冬に岸から1杯を取りにいくなら、そろえる条件は3つだ。
■ 水温 → 釣り場の水温が16度以上で、2〜3日続いている日
■ 水深 → 岸から投げて届く範囲に、水深10mを超える深場がある場所
■ 夜 → 夕マズメ(日が沈む前後の薄暗い時間)の明るさが残る時間から夜。朝なら真っ暗から空が白むまで
投げるエギは3.5号のノーマル(沈下が約3秒/m)。深くて底が取れない日は4号だ。
なぜ冬は条件を重ねる釣りになるのか。理由はイカの居場所にある。浅場の水温が16度を割ると、アオリイカは水温の安定した深場へ落ちる。死んだわけでも、海からいなくなったわけでもない。昼間は深いところにいて、光が落ちた時間に餌を追って岸へ差してくる。秋のように、浅場で群れが待っている季節じゃない。
だから冬は、探し回るより待つ釣りになる。ヤマシタのエギングマイスター、川上英佑氏はこれを「回遊待ち」と呼んでいて、狙う条件を水温、水深、時間帯の順に並べている。全部そろう日は多くないから、なるべく多くの条件を重ねる日を選べ、という考え方だ。
この順番には理由がある。水温が足りない日は、場所と時間をどれだけ合わせても岸まで寄ってこない。水温が合った日に、深場が近い場所へ入り、暗くなるのを待つ。この順で絞れば、冬の釣行は空振りが減る。
俺もこの順番で組み立てるのを勧めてる。家を出る前に水温を見て、条件が足りない日は無理に行かない。冬の1杯は、行く日を選んだ時点で半分決まってる。
02. 水温:16度以上が2〜3日続いた日を選べ

冬でも、暖かい潮が岸に寄ると水温が持ち直す日がある。川上氏は、自分が通う海を例に、冬でも水温が15〜16度台まで上がって、その水温が2〜3日安定するとチャンスが高まる、と書いている。動画では、エリアによると前置きしたうえで、狙う釣り場の海水温が16度以上で安定していることを「1個キーポイント」と言っている。それより低くても釣れることはあるが、確率で言えば16度以上で安定した環境がいい、という言い方だ。だから俺は16度を線にしている。
ここで見てほしいのは「上がった日」より「続いた日」だ。1日だけ暖かい潮が差した日より、16度台が2〜3日続いた日のほうが、深場のイカが岸寄りまで動いてくる。水温を毎日1行メモしておけば、続いているかどうかはすぐ分かる。
前日の水温は、気象庁の「日本沿岸域の海面水温情報」で毎日11時頃に出る。自分の地方のページを開いて、きのうの値を見ればいい。平年差を見れば、今年の冬が暖かいか寒いかも分かる。このページの引き方と、16度という数字の意味は時期の記事にまとめてある。
ただし、気象庁の数字は広い海域の平均だ。お前が立つ足元の水温とは、ずれがある。川上氏も、ネットの水温は広い範囲の表示で、実際の釣り場とはずれるから、水温計を持っていけと勧めている。
同じ湾の中でも、潮の当たり方、水深、川の流れ込みで水温は違う。川から冷たい水が入る湾奥と、沖の潮が当たる堤防の先では、冬なら差が出る。釣り場に着いたら何か所かで測って、いちばん暖かい場所で粘る。川上氏は、冬は1度が明暗を分けることも少なくないとまで書いている。
水温計は、ひもを付けて海に沈め、目盛りが落ち着くのを待ってから引き上げて読むものが手軽だ。コーモランの「水温計」のように、目盛りを金属のケースで守ってあってカラビナが付いたものなら、ひもを結んで沈めやすい。目盛りは暗いと読みにくいから、明るいうちに測っておけ。竿を出す前に、立てそうな場所を2〜3か所測って回れ。気象庁で「行く日」を決めて、水温計で「立つ場所」を決める。冬はこの2段で絞る。
03. 場所と時間:足元から10mを超える深場で、暗くなるのを待て

水温が合った日に入る場所と、竿を出す時間の話だ。
岸から水深10mを超える場所だけが残る
冬の昼間、アオリイカは水深10mを超える、深いところでは15mを超えるような場所にいることが多い。だから岸から狙うなら、投げて届く範囲に深場がある場所しか残らない。川上氏は、岸から水深10mを超えてくれるとベストだと言っている。
具体的には、外洋に面した堤防の先端寄り、外に口を開けた漁港の入口、足元から急に深くなる磯だ。深い場所は潮の太い流れが生まれやすく、水温も安定しやすい。逆に、浅くて穏やかな湾の奥は外れる。夏に良かった浅い湾奥ほど、冬は空っぽになる。
場所の良し悪しは、エギを沈めたときの手応えでも分かる。潮が通っている場所では、沈めたエギに潮の重さが乗る。もう1つは餌だ。近くでサビキやカゴ釣りをしている人がいたら、何が釣れているかを見ろ。小魚が入っている場所は、イカが差してくる理由がある場所だ。
差してくるのは光が落ちたあとだ
時間帯は、夕マズメの太陽が沈んで明るさが残っている時間から夜。朝なら、まだ真っ暗なうちから空が白み始めるまで。冬はこの時間にアタリが集まる。光が落ちると、深場のイカが外敵に見つかりにくい岸寄りまで上がってくるからだ。冬は潮が澄む日が多いから、なおさら暗い時間に寄ってくる。
川上氏は、水温が下がれば下がるほど、なるべく暗い時間、夜に近い時間のほうが回遊の確率は高まると言っている。水温がぎりぎりの日ほど、夕マズメで帰らずに夜まで粘れ。
待っている間に、水面がヨレたり(流れがぶつかって海面の模様が変わる)、潮目ができたりしたら、沖からイカが差してくる合図だ。休まず投げろ。逆に、さっきまで重かったエギの手応えが抜けたら、チャンスが薄くなったサインだと川上氏は書いている。休憩するか、場所を移すのも手だ。
▶ ヤマシタの川上英佑氏が、冬に狙う場所と時間を解説している。1分14秒あたりから、岸から水深10mを超える潮通しのいい場所を選ぶ理由を話している。4分42秒あたりからは、狙う時間帯と、水温16度以上で安定している日の見つけ方だ。
04. エギ:3.5号ノーマルが基準。冬に小さくする理由は無い

冬に岸へ差してくるイカには、春の産卵を控えて大きく育った個体が多い。川上氏の動画でもそう説明されている。秋の新子を相手にするわけじゃないから、エギを小さくする理由は無い。基準は秋と同じ、3.5号のノーマルだ。号数の基準と沈下速度の考え方は、エギの選び方と同じだ。
ノーマルは1mを約3秒で沈むから、数えた秒数を3で割れば、エギが今いる深さの目安になる。ただし潮に流されると沈みが遅れて、秒数は伸びる。深場で潮が走る日は、割った数字より実際は浅いと思っておけ。
冬に投げるのは夜が中心になる。夜のカラーは、下地に赤いテープを貼った赤テープが基準だ。光の少ない海で、エギの輪郭を黒い影として見せる。反応が無い晩は、光を蓄えて光る夜光(グロー)を足す。ヤマシタのエギ王Kなら、軍艦グリーンが赤テープの1本だ。
夜のカラーと立ち位置の決め方は、夜のエギングの記事に全部書いた。
深くて底が取れない日は4号
冬の釣り場は深い。そのうえ潮が通る場所を選ぶから、3.5号では着底が分かりにくい日が出てくる。川上氏も、水深が深くて潮が通ると着底が取りにくくなるから、冬のエギは3.5号か4号を選べと言っている。
エギ王Kの4号は、沈む速さは3.5号と同じ約3秒/mのまま、ひと回り大きく重い。3.5号で着底が分からない晩は、軍艦グリーンの4号に替えて底を取れ。冬に差してくるのは大きめの個体だから、4号の大きさでも十分に抱ける相手だ。
シャローは風の弱い夜の最後の1本
川上氏は、冬に厳しいと感じたら、エギ王Kのシャローやスーパーシャローを投げろと勧めている。ゆっくり沈むエギを潮の効いた層に長く残して、回ってくるイカに見せ続けるためだ。ベーシック(ノーマル)でサイズを替えてもダメだったときに、最後に頼るのはシャローだ、という順番も付けている。
ただ、このブログには「風速5m/sを超えたらシャローはしまう」という決まりがある。ゆっくり沈むエギは、風でラインが引っ張られると沈まずに横へ流される。冬は季節風が強い。だから冬のシャローは、風の弱い夜の最後の1本だ。順番は、3.5号のノーマル、底が取れなければ4号、風が弱くて反応が無い夜だけシャロー。
▶ 川上英佑氏が、冬に使うエギの選び方を解説している。11分3秒あたりから、エギ王Kのシャローとスーパーシャローを冬に使う理由と、ノーマルで反応が無いときに替える順番を話している。
05. 沈め方と誘い:風の中で底を取り、シャクリの回数を絞れ

冬は深い場所で、風の吹く夜に釣る。エギを底まで届けるところで、もうつまずく奴が多い。
ラインを海面に付けてからベールを返せ
投げてすぐにベール(リールのラインを出し入れする金具)を返して、ラインを出しっぱなしで待つな。風で膨らんだPEラインがエギを引っ張って、いつまで経っても着底しない。
着水したら、まず竿先を下げて、ラインを海面に付ける。自分とエギが一直線になってから、ベールを返す。これだけで、風に取られるラインが短くなる。川上氏は、風が強ければ竿先を海面に数cm付けてもいい、竿が傷むのが嫌ならそこまでしなくていい、と言っている。足場が低くて届くならの話で、波をかぶる足場でそれをやるな。身を乗り出すのがいちばん危ない。
沈めている間は、出ていくラインに指を軽く添えて、出る速さを感じる。着底すると、ラインの出るリズムが遅くなるか止まる。暗くて海面のラインが見えない夜は、目より指のほうが確かだ。だから手袋は、親指と人差し指と中指の先が出るものを選べ。
俺も昔は、冬の夜風の中で投げてすぐにベールを返していて、ラインを風に煽られていつまでも底が取れなかった。着水したら竿先を下げてラインを海面に浸け、指先でラインの出方を拾うように変えてから、風の中でも着底の瞬間がはっきりつかめるようになった。暗くてラインが見えなくても、指先の感覚を信じて底から控えめに誘う。冬の夜の肝はそこだ。
秒数も数える。川上氏は、水深10mを超えて潮が走っている場所だと、着底まで1分以上かかることがあると言っている。頭の中で数えるか腕時計を見て、1投目の着底までの秒数をつかめば、それがその場所の物差しになる。次の投げからは、その秒数を目安に沈め、近づいたら竿でゆっくり聞いて底を確かめる。足場が高くて宙に出るラインが風を受ける場所では、川上氏はエギのサイズを上げるかディープタイプにして一度秒数をつかみ、それを3.5号に置き換えて落とし込め、とも言っている。
▶ 川上英佑氏が、風の吹く闇夜でエギを着底させる手順を解説している。1分5秒あたりから、ラインを出しっぱなしにする悪い例と、着水後にラインを海面に付けて一直線にしてからベールを返す動きを見せている。3分32秒あたりからは、指でラインの出方を感じて着底を取る方法と、指先の出る手袋の話だ。5分53秒あたりで、深場では着底まで1分以上かかることに触れている。
シャクリの回数は絞って、沈め直しを長く見せろ
冬のイカは、底近くに沈んでいることが多い。シャクリの回数を増やすほどエギは底から離れて、元の深さへ沈め直すのに時間がかかる。川上氏は、回数は好みでいいと前置きしたうえで、冬は1回目を小さくして、あと2回ほどに絞ったほうが、平均すると当たる確率が高いと言っている。回数に正解は無いが、冬は底から離しすぎないことが先だ。
シャクったあとは、出たラインのたるみをすぐに巻き取って沈め直す。夜は穂先より、ラインのわずかな緩みや震えでアタリを取る。風が強くてシャクったあとのラインが膨らむ日は、リールを巻きながら小刻みに動かすショートジャークに切り替えろ。巻きながら動かすから、ラインが風に持っていかれにくい。シャクリ方とショートジャークの手順は、こっちに全部ある。
川上氏は、冬から春の夜の回遊待ちは、1杯までにいちばん多く投げる季節じゃないかと言っている。だからこそ、1投ごとに底を取り、同じ深さを同じ手順で見せ続けろ。手順が揃っていれば、イカが差してきた1投を逃さない。
06. 冬の海に立つ前に:うねりと季節風と寒さ

冬に狙う場所は、外洋に面した深い場所だ。つまり、冬の荒れた海にいちばん近い場所でもある。釣りの話より先に、ここを読め。
海上保安庁は、事前に釣り場の気象と海の状態を確かめて、警報や注意報が出るなど荒天が予想される場合は釣りを控えるよう呼びかけている。単独行動をしないこと、釣りをする場所と帰宅予定時刻を家族や仲間に伝えておくことも挙げている。冬の夜の外向きの堤防は、できるだけ仲間と行け。どうしても1人になる夜は、行き先と帰る時刻を必ず家族に伝えて、少しでも荒れていたら外向きには出るな。
予報に出る波の高さは平均の値で、最大でその2倍の波が来ることがある(海上保安庁)。川上氏も、うねりが立つとエギが安定せず釣果に結びつきにくいから、少しでもうねりがあればそういう場所には立たないほうがいい、安全装備を整えていても大丈夫ということにはならない、と言っている。外向きが荒れている日は、水深のある堤防の内向きに場所を移せ。
俺も、予報では問題なさそうに見えた冬の外向きの堤防で、着いてみたら足元を洗うようなうねりが入っていて、竿を出さずに引き返したことがある。せっかく来たのに惜しいという気持ちはあった。だが冬の夜の海に落ちたら命に関わる。無理に粘らず、穏やかな場所へ移るか車に戻ると決められた日のほうが、あとで振り返れば正解だった。テトラ(消波ブロック)の上には乗るな。
このブログでは、風速10m/sを撤退の目安にしている。これは公的な基準じゃなく、ラインの操作が成り立たなくなる目安だ。それより弱くても、波が足場を洗っている日は帰れ。
ライフジャケットは、堤防なら桜マーク(Type A)の腰巻きの膨張式を厚着の上から締める。磯に立つなら固型式だ。膨張式が自動で膨らむのを待たず、落ちたら自分で紐を引け。ヘッドライトは手元だけを照らして、人と海に向けるな。冬の海に落ちたら、1杯どころの話じゃない。
まとめ:冬のエギングは条件を重ねた晩に釣れる

今回の講義はここまでだ。
■ 水温:16度以上が2〜3日続いた日を、気象庁と水温計で選ぶ
■ 水深:岸から10mを超える深場がある場所に立つ
■ 夜:夕マズメの残り明かりから夜、朝は真っ暗から白むまで待つ
冬のエギングは、水温16度・水深10m・夜の3つが重なった晩に釣れる。 エギは3.5号のノーマルを基準に、底が取れなければ4号。投げたらラインを海面に付けて一直線にし、底を取って、シャクリは控えめに長く見せる。
冬の1杯は数が出ない。そのかわり、条件を自分で読んで取った1杯は、秋の何杯ぶんも価値がある。
よくある質問(FAQ)
理屈っぽいお前らが抱きそうな疑問に、先回りして答えておくぞ。
Q1. 冬のエギングの服装はどうすればいいですか?
A. 結論:風を通さない上着を着て、その上からライフジャケットを締めろ。 冬の夜の堤防で体を冷やすのは、気温より風だ。中は重ね着で調整して、いちばん外に風を止める上着を着る。そのうえで、腰巻きのライフジャケットがきちんと締まるかを家で確かめておけ。厚着でベルトが届かないなら、それは着ていないのと同じだ。足元は滑りにくい靴、頭と首は風から守る。
Q2. 冬にエギングをすると、アオリイカ以外に何が釣れますか?
A. 結論:港の常夜灯の下なら、ヒイカが狙える。 アオリイカが沖へ落ちる頃、入れ替わるように小さなヒイカが港に入ってくる。エギと道具をひと回り小さくすれば、同じ港で冬の夜が楽しめる。釣り方はここにまとめた。
Q3. 冬の昼間は、アオリイカは釣れませんか?
A. 結論:釣れなくはないが、確率は暗い時間のほうが高い。 川上氏は、水温が比較的高い場所なら日中も回遊が見込めると書いている。昼に竿を出すなら、水温計でいちばん暖かい場所を探し、深場へエギを届けて底を丁寧に探れ。ただ、冬の本番は光が落ちてからだ。昼は下見と水温を測る時間に使って、夕マズメからの本番に備えるほうが効率がいい。
Q4. 冬に釣れるアオリイカは大きいんですか?
A. 結論:大きめが多いが、小さいのも混じる。 冬に岸へ差してくるのは、春の産卵を控えて育った個体が多い。一方で、アオリイカは産卵の時期が長いから、夏の終わりに生まれて小さいまま冬を越す個体もいる。小さいのが釣れたからといって、エギを小さくするな。基準の3.5号で、次の大きい1杯を待て。
冬の堤防は人が少ない。条件の悪い日に無理をせず、条件が重なった晩を選んで行けば、静かな海で大きい1杯と向き合える。
水温を見てから、家を出ろ。
このブログでは、エギングの「なんとなく」を一つずつ物理で解体していく。役に立ったならフォローしておけ、損はさせねぇ。
冬は1杯までの投げる回数が多いぶん、どこかで手順が崩れると気づかないまま夜が終わる。アオリイカが釣れない日に何から直すかを、順番で潰す1冊を有料で出した。
またな。