
カフカ後期の迷宮を一篇ずつ、さまざまな角度から読み解く
著書紹介:上江憲治・野口広明編『カフカ後期作品論集』
本書は『カフカ初期作品論集』(2008)、『カフカ中期作品論集』(2011)に続く、カフカ作品論集であり、生前未発表のものも含め、カフカが後期に執筆した作品群と遺稿を対象としている。
各作品に対して複数の研究者が論じることで、カフカ作品のひとつの「正しい読み方」を示すのではなく、さまざまなアプローチを取ることで多義性や解釈可能性を提示している。
前半部では晩年の短編集『断食芸人 四つの物語』を、後半部では、『批判版カフカ全集』の『遺稿と断章㈼』に収められた作品を分析し、芸術家像、語りの構造、ユダヤ性、身体、病、言語、沈黙、創作不安といった、必ずしも「後期」に限らないカフカ作品に通底する主要テーマについても横断的に扱われる。
いくつかの論文は試し読みができます。
【目次】
まえがき
短編集『断食芸人 四つの物語』
1『最初の悩み』—芸術と芸術家—(有村隆広)
2『小さな女』—語りの磁場を逃れて—(野口広明)
3『小さな女』—「お見通し」行為という観点からの分析—(西嶋義憲)
4『断食芸人』—書く人として生きる—(佐々木博康) 試し読み→
5『断食芸人』—見られない芸—(上江憲治)
6『断食芸人』—ある作家の宿命—(立花健吾)
7『歌姫ヨゼフィーヌあるいはねずみ族』—芸術家か、英雄か—(下薗りさ) 試し読み→
8『歌姫ヨゼフィーヌあるいはねずみ族』—歌のない絶唱—(古川昌文)
遺稿より
9『ハゲタカ』—結核の発病— (有村隆広)
10『却下』—ロシア像とユダヤ性— (林嵜伸二) 試し読み→
11『寓意について』—カフカ作品における対話の「歪み」— (西嶋義憲)
12『都市の紋章』—ユダヤ性と不壊なるもの— (林嵜伸二)
13『夫婦』—二者択一を越えて— (野口広明)
14『ある犬の探求』—"沈黙"のうちに"語る"こと— (山尾涼) 試し読み→
15『ある犬の探求』—カフカ文学の軌跡— (有村隆広)
16『巣穴』—創作の原動力としての「敵」— (村上浩明) 試し読み→
あとがき
年譜
索引