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酵母の䞖界 No.33-1Barnettozyma sucrosica垜子型の胞子を぀くる利尻島由来の酵母

    このシリヌズでは、パン・ビヌル・ワむン・発酵食品を支える酵母たちを、研究者の芖点から少しず぀玹介しおいたす。
    ★酵母の䞖界を巡るためのたずめペヌゞを䜜成しおたす↓


    前回は、日本の亜熱垯地域から分離され、保存株の再解析によっお新皮ずしお敎理された Vanderwaltozyma japonicaノァンダヌワルトザむマ・ゞャポニカ を玹介したした。

    今回は、日本の北ぞ向かいたす。

    北海道・利尻島の土壌から芋぀かった Barnettozyma sucrosicaバルネトザむマ・スクロシカです

    「酵母の分裂」ず聞くず、䞀぀の现胞から小さな芜が出お増えおいく姿を思い浮かべるかもしれたせん。

    ずころが、この酵母を詳しく芳察するず、现胞同士が接合し、その䞭に「垜子」のような圢をした胞子を぀くる姿が芋えおきたす。

    今回は、酵母の増え方に぀いお芋おいきたしょう


    利尻島の土から芋぀かった酵母

    2007幎、研究者たちは北海道・利尻島で、花、果実、土壌、氎などから酵母を集めたした。

    利尻島は北海道北郚に䜍眮する冷涌な島です。
    こうした亜寒垯の自然環境に、どのような酵母が暮らしおいるのかを調べるための探玢でした。

    この調査から埗られた酵母は331株。
    このうち、利尻島の土壌から分離された2株は、これたで知られおいた酵母ずは少し違っおいたした。

    そこで研究者たちは、たず现胞がどのように増え、どのような胞子を぀くるのかを芳察したした。

    するず、この酵母は现胞同士が接合したあず、垜子のような圢をした胞子を぀くるこずが分かりたした

    この特城は、Barnettozyma 属の酵母に芋られる圢態の䞀぀です。

    そこで研究者たちは、すでに保存されおいた Barnettozyma 属の菌株ずも比范したした。
    するず、奈良県・倧台ヶ原の土壌から以前に分離されおいた1株が、利尻島の2株ずよく䌌おいるこずが分かりたした。

    さらに3株のDNA配列や栄逊利甚性を比范するず、3株は同じグルヌプを圢成し、既知の Barnettozyma 属の皮ずは明確に区別されたした。

    こうしお、この3株は新皮 Barnettozyma sucrosica ずしお敎理されたした

    では、この酵母の特城ずしお最初に目を匕いた「垜子型の胞子」には、どんな意味があるのでしょうか


    酵母は「芜を出しお増える」だけではない

    酵母の代衚的な増え方を出芜ずいいたす。

    芪现胞の衚面から小さな膚らみができ、それが成長しお嚘现胞になりたす。パンや酒づくりで䜿われる Saccharomyces cerevisiae サッカロマむセス・セレビシ゚でもよく知られた増え方です。

    B. sucrosica も普段は出芜によっお増殖したす。

    ずころが、有性生殖ぞ進むず様子が倉わりたす

    研究では、芪现胞ず、その芪から生じた嚘现胞の間で接合が起こる様子が芳察されたした。
    そしお、その接合によっおできた现胞の䞭に、次の䞖代ぞ぀ながる胞子が圢成されたす。

    特城的なのが、その圢です
    䞀぀の袋状の構造の䞭に1〜4個の胞子が぀くられ、その胞子は䞞ではなく、小さな垜子のような圢をしおいたす。

    酵母ずいうず、䞞や楕円圢の现胞が増えおいく単玔な埮生物に芋えたす。

    しかし実際には、出芜、接合、胞子圢成ずいう耇数の段階をも぀生掻環があり、その方法や胞子の圢も酵母によっお異なりたす。

    B. sucrosica は、その倚様さを分かりやすく芋せおくれる酵母なのです。


    垜子型の胞子は䜕のため

    そもそも、なぜ酵母は胞子を぀くるのでしょうか

    菌類の胞子は、次の䞖代を぀くるだけでなく、環境が悪くなったずきに生き延びたり、新しい堎所ぞ広がったりするための圢態でもありたす。
    酵母でも、胞子になるこずで熱や也燥などに匷くなる䟋が知られおいたす。

    では、B. sucrosica の胞子が、なぜ䞞ではなく「垜子型」なのでしょうか

    ここは意倖にも、ただよく分かっおいたせん

    酵母の䞖界を芋るず、䞞い胞子だけでなく、土星型、針型、垜子型など、さたざたな圢がありたす。
    しかし、こうした圢の違いが、どの環境でどんな利点をも぀のかは、倚くの酵母で未解明です。

    垜子型の胞子も耇数の系統で独立しお珟れおおり、単玔に䞀぀の機胜ず結び付けるこずは難しいず考えられおいたす。

    胞子ずは、基本的な圢態あるず同時に、「なぜ酵母の胞子にはこれほど倚様な圢があるのか」ずいう未解明の問いを芋せおくれる特城でもあるのです。


    おわりに

    Barnettozyma sucrosicaバルネトザむマ・スクロシカ は、利尻島の土壌から芋぀かった酵母です。

    この酵母の面癜さは、新皮だったこずだけではありたせん

    普段は芜を出しお増える䞀方で、胞子を぀くる段階では芪现胞ず嚘现胞が接合し、その埌に垜子のような圢をした胞子を぀くりたす。酵母にも、私たちがよく知る「出芜」だけではない、さたざたな増え方や生掻環があるこずが芋えおきたす。

    残念ながら、いただに垜子型の胞子の圹割は、ただよく分かっおいたせん。

    特城的な圢が芋぀かっおいおも、その生物孊的な意味たでは分かっおいない。

    そこにも、野生酵母を調べる面癜さがありたす。

    さらに、利尻島の株を調べる過皋では、奈良・倧台ヶ原由来の保存株も同じ皮ず刀断され、台湟にも非垞によく䌌たDNA配列をも぀酵母が芋぀かっおいたす。

    䞀握りの土から芋぀かった䞀株を詳しく芋るず、酵母の増え方、胞子の圢、そしお分垃たで、ただ知られおいない䞖界が広がっおいるこずが芋えおきたすね。


    次回は、日本シリヌズ最終回です䞀旊。

    最埌に玹介するのは、瞄で芋぀かった新皮酵母 Yamadazyma thunbergiaeダマダザむマ・トゥンベルギア゚。

    この酵母が芋぀かったのは、沖瞄の花や倧孊キャンパスの土壌です

    しかも調べおみるず、ラフィノヌスやメリビオヌスずいった怍物由来の耇雑な糖を利甚できるこずが分かりたした。

    キトラ叀墳、䜎枩に適応した野生酵母、沖瞄の土壌、長く保存されおいた菌株、利尻島――。

    日本各地の酵母をたどっおきたシリヌズの最埌は、「いたも身近な自然から新しい酵母が芋぀かり、その䞭にはただ知られおいない代謝胜力が眠っおいる」ずいう話で締めくくりたす。

    次回、日本シリヌズ最終回。
    沖瞄生たれの新皮酵母 Yamadazyma thunbergiae です



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    参考文献

    Imanishi Y et al. A new Barnettozyma species forming hat-shaped ascospores isolated from soil in Japan. The Journal of General and Applied Microbiology. 2010;56(6):447–453.

    Kurtzman CP et al. Phylogenetic relationships among species of Pichia, Issatchenkia and Williopsis determined from multigene sequence analysis, and the proposal of Barnettozyma gen. nov., Lindnera gen. nov. and Wickerhamomyces gen. nov. FEMS Yeast Research. 2008;8(6):939–954. 

    Wang JJT et al. Natural trait variation across Saccharomycotina species. FEMS Yeast Research. 2024;24:foae002.

    Neiman AM. Sporulation in the budding yeast Saccharomyces cerevisiae. Genetics. 2011;189(3):737–765. 

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    アメリカ圚䜏の研究者 × 子育おパパ。 家族ず暮らす海倖生掻や、研究ず育児の葛藀などを発信䞭。 海倖で働く・家族を支えるあなたに、共感ずヒントを届けられたら嬉しいです。

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