
食としての魚を楽しく学びたい人向け(3限目)
イントロは特になしで3限目をはじめる。お魚勉強会はこれでラスト。
日本近海には約3700種類の魚が生息しているが、市場に流通しているのはその内600種類程度だそう。どちらも世界最大規模だが、一部地域でしか出まわっていない魚も多い。
そのはずだよね。だって私100種類も知らないもん。
未利用魚/低利用魚とは、ある地域では食べられていても全国規模では知られていない魚のこと。
たとえば、トクビレ・アイゴ・ニザダイ・イスズミ・カスベ・イラギ・シイラなどと聞いて、どんな魚かわからない人がいるだろう。

トクビレ(通称:八角)は北海道などで売られている。この見た目、子どもは大喜びするのではないか。おいしいしカニのような味がすると広く知られれば、買ってみたい人はいるのではないか。

アイゴは本州にも生息しているのだが、この魚が広く売り買いされていないのは、ヒレに毒があるためだと思われる。そこだけ切り落とせば問題ないと言われても、心配する人は多いだろうから。

ニザダイはタイではなくスズキ目の魚。生きる透明標本という感じのアクロヌルス期↓を経て、成魚になる。海藻を主食とするため身に独特の磯臭さがあり、漁業関係者でもあまり食べないらしいが。くら寿司さんが試しにニザダイにキャベツを与えて育ててみたところ、においを軽減できたそう。通称がサンノジなのは、尾の近くに3本線っぽい模様があるから。
アクロヌルス期に関しては動画をお借りする。

誰?ニザダイの仲間のヒメテングハギ。英名はユニコーン・フイッシュ。あーね鼻か角かね。ニザダイにぜんぜん似てないじゃん?幼少期の写真を見てみよう。


イスズミは、釣りあげられた際のストレスで未消化物を勢いよく排泄するため、多くの釣り人から厄介な外道(本命ではない魚)と認識されているそう。メジナかクロメジナかと思ったらイスズミかよ、臭!という感じに。
メジナは小型なら防波堤でも釣れるため、釣り人になじみ深いはず。

歯が2列あるが、そんなに硬くも鋭くもない。
クロメジナはメジナより力のある尾ビレをもち、引きが強い。鋭いエラブタで、細いハリス(釣り針に結ぶ糸)は切られてしまうことがある。これが釣れたら喜ぶというのはわかる。


カスベは鮮度が落ちるとアンモニア臭を放つことから、煮ても焼いても食べられないカスだと。要するに、鮮度を保ちさえすればよいのだろう(現代にそのための技術はある)。特に北海道ではおいしく食べられている。本州にも生息しているのだが、エイヒレとして以外に食べる習慣がない。

イラギはアオザメの地方名称。サメも鮮度が落ちるとアンモニア臭を発するが、塩干しやみりん干しとして流通している。「さめのたれ」には、しおたれ・みりんたれがある。加工すればいけるのだろう。


シイラは、ハワイではステーキやフライとして人気のある魚だが、体表に毒があり生食には向かないと言う。マヒマヒ(ハワイ語で力強いという意味)と呼ばれ、強い引きやダイナミックなジャンプで釣り人のチャレンジ精神を駆り立てる。室町時代の文献でも言及されているが、釣りをしない日本人には知られていないのではないか。


ランダムにピックアップしたのに、臭い魚というのが複数あった。1つの傾向として、広く好まれない魚には悪臭問題があるようだ。あと毒。
流通していないのにはそれなりの理由があるのかもしれないが。特定の地域でしか知られていない魚が、より拡く売買されるようになってもいいのではないかと。そういうことを表現したく、小ネタをいくつか紹介してみた。
味や品質に問題がないにもかかわらず、不ぞろいであるとか多少傷があるとかで買わないなんてやめようと。食品ロスは極力減らそうと。そういう意識が人々に定着したように、価値観や考え方は変えることができると思う。
でも、なんのために?
1つは、1限目でも2限目でも書いてきたような問題に対して講じる策として。
もう1つは、これは食に限った話でもないのだが……。
世界的に人気になると、値段がうんと高くなって日本人が買いづらくなることもある。では、よそに知られない方がいいのか。そんなふうにしか思えないのは生産性がないし、方向性が閉鎖的で陰鬱な気分になる。

だって、これをかわいいイラストでなく人間の大人の写真にしたら、なかなかグロい光景じゃん。
うちの島()生まれじゃあない人たちにオラついてばかりいる、右とか左とかそんなレベルに実際達していないネットの推定・老人男性などに、私は思う。古代兵器かよと。
海外勢と無理に競わずにうまく売り買いしたり食べたりしたって、いいではないか。何事も、ポジティブにクリティカルに発想や行動していきたい所存。
自分がマグロを食べないで他の人に食べさせるなんて嫌?わかるよ。
2限目で、よくない状況を打破できたのはどういう人たちか具体例を出して示した。先の時間のことを考えて打つのが戦略だ、ともずっと書いてきた。



バランスを欠いていると、2限目で説明したようなことに結局なってしまう。



自分たちが日々受けている恩恵にもっと気づこう。世界の見え方が変われば、価値観や考え方も変わりやすいかもしれない。
Parrotfish(オウム魚)と呼ばれるブダイ亜科の魚は90種類以上。世界中のサンゴ礁に生息している。

一部のブダイ(ここではカンムリブダイを例に書いていく)は、「千本」の強力な歯でサンゴを細かくすりつぶして飲みこむことで、体に養分を取入れている。カンムリブダイがこのようにしているため、サンゴは藻に覆われて窒息したりせずに済んでいる。

サンゴは健康な状態を保てて・サンゴ礁に住む魚はよい生態系を享受できて・カンムリブダイは豊富なエサにありつける。Win-Win-Win.
カンムリブダイはそれらを白い砂として排出するのだ。1匹が何百kgもの砂を生み出すのだから、カリブ海やハワイの砂浜の最大7割がカンムリブダイによって生み出されている可能性。
カリブ海しか関連性がないのだが、自分で気に入っている過去回なので貼っておく。
長い年月をかけ砂が積み重なれば、小ぶりな島さえ形成され得る。やがて、そこに植物が根をはり・動物が住みはじめる。生物の排泄物が資源となり、その場所はより豊かになっていく。
カンムリブダイの歯は非常に硬い生体鉱物(バイオミネラル)で、サメの歯よりも硬いしガラスよりも硬い。1インチ角の空間に88頭のゾウがいるほどの負荷をかけられるーーという解説をしている人がネットにいて、ぎゅうぎゅうづめのゾウに笑った。

バイオミネラライゼーションは、1948年に日本で生まれて、世界で用いられるようになった用語だ。日本の真珠研究者らが明らかにしたメカニズムなのだ。
今や、それが脱炭素研究にもつながっている。
カンムリブダイが乱獲されている場所では、サンゴ礁が弱る現象が発生している。グアムではカンムリブダイが絶滅の危機に陥っている。

浅瀬で群れをなして眠るという習性があり、獲りやすいからと獲りまくったのだ。
パリトキシン様毒(フグ毒より強力とも言われ・加熱しても分解されない)が内臓にたまっているアオブダイなら、獲られないが。

「海系観光地が白い砂浜クリエイターを駆逐しようとしている」と書いて、「バカ」と読む。他に食べれるものはいくらでもあるのに。

他人事ではない。
世界的に人気になる日本の魚があれば、みんなにも食べてもらっていいではないかーーというのと並行して考えていかなければならない、他の大事な話もあるということ。
いくつかの魚に需要が集中しすぎないよう、たとえば市場に出まわる魚の種類を増やしていってはどうかと。そういう話をしているわけだが。
買う人が少ない物の値段は上がらない/下がっていくし、損をする可能性の高い物はあつかわれなくなっていく。シークワーサーのようにヒットするかはさておき(後述する)、まずは広く知られないといけない。

ヒレ以外もエイはおいしいとか、そういう情報が。動画をお借りする。


ここで卸売市場の話をするが。文字ばかりで読む気が失せたり・端的な説明だけでつまらなく感じたりするかもしれない。そんな時こそ、がんばって。知っている人は読みとばして。

特定の市場において商品やサービスが売買される時の、取引価格の基準や水準は、買い手と売り手の需要と供給のバランスで変動する。
卸売。卸売業者が、生産者や出荷者から買い付けたり委託されたりした商品を、仲卸業者などに販売する。
(生産者が直接お店や消費者に販売することもあるが、基本的には卸売市場を通している)
卸売市場。卸売業者が、仲卸業者などに効率よく販売するために、それら商品を一箇所に集める。
日本の卸売市場には、中央卸売市場と地方卸売市場がある。中央は国の認定・地方は都道府県の認定を受けている。
(2020年の法改正で。国が一律決めるのでなく、卸売市場の開設者が一部の取引ルールを市場の特性にあわせて設定できるようになった)

卸売市場であつかわれるのは、青果物・水産物・食肉・花。
卸売業者が全国の生産者や出荷者から商品を仕入れることで、さまざまな産地から・多種多様な品目や品種を・階級や等級別に・大量に、卸売市場に集結させることができる。仲卸業者などからの注文に対し、商品を迅速に分荷し販売することもできる。

卸売市場での取引方法は、競り・入札・相対だが。主流は、競りから相対へと移行している。
相対とは、売り手と買い手が1対1で交渉して、数量や価格などを決める取引方法だ(当日相対と事前相対がある)。まとまった数量をあつかう大手量販店の開店時間に間にあうようにと、相対取引への移行が進んでいき。今では9割が相対取引となっている。
妥当だと思う。けれど、大切なものは1つではないから、これもまたバランスよくいきたいところではある。



1限目のこの部分につなげよう。


セリが完全になくなったわけではない。中央卸売市場の水産物の競りは5時から。青果物の競りは6時半から。

自国のある文化や伝統(たとえばセリ)を失いたくないと思うのなら、ある程度の行動で守れる。数の力は必要だけれど。消費者というのは、あなたが思うよりも(?)ぜんぜん強い。世界にはもっとずっと解決したりするのが困難な、複雑にからみあったことがある。
明るくて元気でいい歌だね。さすが国民的アイドル。
卸売市場における中値と安値は、取引数量との関係にもとづいた指標で、卸売市場における実際の需要を表している。
高値:その日の取引の中で最も高い価格で成立した卸売価格。つまり、ここで取引数量は問われていない。高値は最高値と同じ意味。
安値:中値未満の価格帯の中で最も取引量が多かった価格。こちらは取引数量を鑑みている。安値は最安値とは違う。
中値:総販売数量が最も多かった卸売価格。中値は、価格を単純に平均した平均値ではない。

海産物に限った話でなくマクロな話。一般的な認識として、昭和〜平成初期は、中程度の品質や規格で中程度の価格の商品が最も多く流通していた。要するに中値と平均値は近かった。平均値を見たとしても相場感はつかめていたわけだ。
相場が二極化していると言われている現在(高品質高単価な〇〇・大量生産低価格の△△など)は、そう単純ではないだろう。
世界的に何もかもがそんな感じ?そうかもしれないね。株式市場も、一部銘柄や特定のセクターに集中するという意味の二極化をかつてないほどしている。I’m not surprised.




まぁ、セリを増やすことよりは難しいよな。でも、何度でも言うけれど、あきらめても無駄。
シークワーサーが全国的に知られていなかった頃は、ごく一部の人が沖縄を訪れた際に口にする程度だった。

この長寿村とは沖縄県大宜味村のことで、シークワーサーの最大生産地である。
ある実験によると。シークワーサーに豊富に含まれるノビレチンというフラボノイドとDHAの組合せは、神経細胞の突起伸長活性を相乗的に高める。

ポリフェノール・フラボノイド・レビノチンについて、多価不飽和脂肪酸・DHAやEPA・オメガ3脂肪酸ついて、書く前に。
「学ばずして智を求むるは なお魚を願うに網なきがごとし」勝田祐義
別に私の文章でなくてもいいのだが、「いつやるの?今でしょ!」でがんばって読んで。今まで〇〇を知らないのは、〇〇を知る全機会に逃げてきたから。楽な方へ楽な方へと逃げる癖は本当によくない。楽な方が全て最適解と一致していることなど、ほぼあり得ないのだから。知っている人はまた読みとばして。
ポリフェノールは植物の苦味や色素の成分。たとえば花が鮮やかな色をしているのはポリフェノールの作用。自然界に8000種類以上存在すると言われている。2大グループはフラボノイドとフェノール酸。

フラボノイドの中に何千種類もあるのだから。
脂質の主要成分は脂肪酸。脂肪酸は、バターやココナッツオイルなどの飽和脂肪酸と、オリーブオイルや魚油の不飽和脂肪酸にわけられる。不飽和脂肪酸には、多価不飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸がある。青魚から多くとれるDHAやEPAと呼ばれる油は、多価不飽和脂肪酸。化学式の特徴からオメガ3系脂肪酸とも呼ばれる。

プランクトンと海藻・リンと窒素について書いた1限目の内容を、ここにつなげていく。




これ↓を知らなくてもいいとは思うが。意味がわからないままオメガ3脂肪酸などという言葉をよく言えるな、呪文みたいで恥ずかしくないか。とはちょっと思う。

オメガ -3脂肪酸:最後の炭素原子(オメガ炭素)から数えて3番目の炭素原子に、最初の二重結合がある脂肪酸。
Expecto Patronum という呪文は、ラテン語の Expecto(待つ)と Patronus(守護者)からで、守護霊よ来たれだ。ハリーはきっと、生きとし生けるみんなに感謝しつつ唱えている。うわべだけまねをしてそのパワーを借りようだなんて、図々しいと思う。精霊だってヒマじゃあないんだから出てきてやりたくないよ。

プラスの感情や感謝の気持ちをエネルギー源とするのであろう、最も有名で最も発動困難な魔法。
さすが『ハリー・ポッター』、深い。
サプリメントで摂取してもいいの?あまり大きくない魚の 高温加熱抽出なし化学処理なしの EPA DPA DHA組合せの サプリは、理論上いいものだと思うよ。結局は何事もバランスだが。

こういう料理がどのように体にいい可能性が高いのか、伝わっただろうか。

ユニークなドレッシングとオシャなサラダを出すことで、ミスリードをしてしまわないように、さらに書きそえておこう。
たとえば、アミノ酸スコアなるものが100の食品ばかり摂取していては、栄養のバランスはかたよる。穀類にはリシンというアミノ酸は少ないが、豆類でそれをおぎうことができる。豆類にはメチオニンというアミノ酸は少ないが、穀類でそれをおぎなうことができる。普通に、ご飯と味噌汁・ご飯と納豆でいいのだ。


100 × 1 より 25 × 4 の方がずっといいと。不完全な者どおしが補いあうかのようで、なんだか哲学的だよね。


いつか改めて書くとしていた、地中海食について。ここで書こうかな。

1961年のある日、アメリカ国民が郵便受けを開けると、そこに生物学者のアンセル・キーズがいた。『TIME』の表紙を飾っていたのは、もっぱら、有名な政治家や映画スターやトップアスリートだったのに。

キーズ博士は軍用食「Kレーション」を開発した。飢餓に苦しむ難民に食料を供給しようともつとめた。だが、タイム誌にとりあげられたのは、彼が心臓病の原因を解明しようと試みていたからだった。
特定の食料が入手困難だった戦時下、心臓病の発症率が急激に低下したのを見て。食生活と心臓の健康には何らかの関連があるのではないかと、博士は考えたのだ。
(今では当たり前の情報も、昔は当たりではない)
世界規模の研究「7カ国研究」を実施。約12000人の男性を対象に最大15年間、調査。そして、飽和脂肪酸と心臓病の間に強い相関関係があることを示した。
地中海の食事スタイルを最適解だと提唱し。博士自身、100才で亡くなるまでナポリ南部で30年間暮らした。

彼に対する世間の主な批判は、全て誤りかお門違いであり、反証できるものばかりである。

お借りしておいてなんだが。彼女は、娘によるなりすまし疑惑のあるスーパー・センチネリアンだ。
仮にジャンヌさんが嘘松だとすると、両名とも119才まで生きた日本のカ子さんかアメリカのサラさんさんが人類史上最も長寿。仮にジャンヌさんが嘘松だとしても、地中海食が体によいことは事実。
魚・味噌や納豆・海藻・緑茶などの和食を好む人が、地中海食に変える必要はない。その場合でも意味があるのは、和食の欠点は塩分が高いことだと考え一部をひかえ、地中海食の利点を部分的に取入れるとかだ。


しばらく過去回の文章を貼る。







先日SNSで海外の都市政策アナリスト(大層ご立派な名札ね)が、現代の状況にあわないから古典の名著を読んでも無駄的なことを投稿して、わざわざ己のレベルの低さを晒していた。
別に誰も、古典の名著に現代の具体的なアンサーなんか求めていないのに、ドヤッて語っていたのがダサかった。
私が一番気スカっとした反論「ーーであるからして、聖書にスマホが登場しないことも全く問題ない」

1限目から、これ系の話はし続けているが。
海水温が上昇することで、魚の生息域が北上していっているだけでなく、魚たちにオスが増えている事例が見られる。

雌雄比の極端な偏りが続けば、生物集団としての繁殖力が低下し、局所的な絶滅をひき起こす可能性がある。その他の種にも連鎖的な影響をおよぼしかねない。
ずっと表現してきたように、みんながつながっているから。
明らかな懸念事項ではあるが、あえて、違う角度からも物事を見てみよう。
外温動物の魚類は水温などの環境変化の影響を受けやすく、性染色体によって決められた通りに発生が進まない場合があるが。そもそも魚の性の様式は多様だ。一生の間でオスとメスの両方の性で繁殖が可能な魚もいるし。(ヒトと同じXX型/XY型の性決定様式をもつ魚は多いが、)たとえばブリや一部のヒラメはオスがXXでメスがXYだ。



ローワン・ウィリアムズは言った。我々は、時間的プロセス・制御不能な変化・偶然などに左右される肉体的な動物であるという制約から私たちを遠ざけてくれる、ありとあらゆるものを渇望すると。

生きている間に九回変化するーー九絵。



生息地は限られているし・成長するのにとても時間がかかるし(1年で約15cm)・たまにしかエサに食いつかず釣り上げることは困難だしで、市場に出回る量が少ないクエ。
(最近では養殖技術が向上して、成長の速いクエも出てきたようだが)
性別の話をするなら。生まれたばかりのクエは全てメスで、だいたい10才以上でオスになる。

必要に応じた変化で、色にもフォーカスしてみる。
キンメダイは、赤い体色を理由に鯛の代用としてあつかわれてきた歴史があり名前にタイとついているが、マダイなどとは別種で。キンメダイ目キンメダイ科に属する独立した深海魚(水深200〜800m)だ。

暗い海で光を集めるために、大きく発達した目。わずかな光を増幅させるために、目の裏側に反射板もそなえている。
太陽光が海の中へ差込むと、浅いところで赤色の光は吸収される。深いところまで届くのは青色の光だ。キンメダイが生息する深さも、わずかな青色の光しか届かない。赤い体色は深海では黒っぽく見えるはず。保護色なのだろう。
キンメダイが鮮やかな赤色でいれるのは、アスタキサンチンという天然の色素成分を摂取しているから。
オキアミはアスタキサンチンを豊富に含む。エビやカニ(フラミンゴもそうだよ)はオキアミを食べる。キンメダイはエビやカニを食べる。

どう見てもエビにしか見えないプランクトンだ。



ヤドカリ系でカニ化しているのは複数ある。
エビやカニが茹でると赤くなる理由。殻の中にタンパク質と結合した状態でアスタキサンチンをもっている。→ 熱が加えられるとタンパク質が分解することでアスタキサンチンが分離する。→ 表面に赤い色が出てくる。

2限目で書いたとおり、マグロが赤い理由はこれとは異なる。

婚姻色。魚類や両生類などの動物が繁殖期にだけ見せる特別な体色や模様のこと。
異性に自身の魅力をアピールする勝負服のようなもの。
たとえばオイカワのオスは、夏を中心に、「川の宝石」と呼ばれるほど鮮やかな体色を見せる。


ある晩、物音に気づいて目を覚ますと、銀色に輝く抜き身をたずさえた人影が。
「金を出せ」
強盗がそう言った直後、飼い猫が刀にとびついた。
猫が斬られてしまう!と思わず目を閉じた。
恐る恐る目を開けると、強盗はいなくなっていて、猫も無事だった。
猫が何かを食べている。
刀に見えていたものは魚だった。

刀のように銀色に輝き鏡のようにまわりの風景を映し出す、太刀魚(タチウオ)。おだやかな流れの中では頭を上にして立つように泳ぐ、立ち魚(タチウオ)。
タチウオの体表には、グアニンという成分が大量に含まれている。
かつては、グアニン結晶は人工真珠に用いられていた。また、マニキュアやアイシャドーのラメの原料でもあった。

3限目は、魚を通して、本質を見極めることと変化していくことを大テーマに書いてみたが。このシリーズものの〆はどんな話にしようか。
割主烹従(かっしゅほうじゅう)。割、はじめに包丁を使って切る仕事があり。烹、それに続いて火を使って煮たり焼いたりする仕事が。
『韓非子』「大国を治めるには小魚を煮るようにすべきである」『洪範』で、八政(国家が管理すべき8つの実務)の第一は食である。古代中国の鼎は国家の権力を象徴する宝器だった。
鼎って何?鍋。

エジプトのピラミッドの壁には、調理に関する絵がたくさん刻まれている。歓談を交わし懇親を深める時、人々は一緒に食卓を囲む。
最期も晩餐だ。

西洋との交流がはじまったばかりの頃、彼ら彼女らが、骨つき肉を手づかみし・勢いよくかぶりつき・油を口元からたらしていたのを見て。日本人は、それを鬼畜の食事であると思った。
一方、日本人が箸で生魚を食べるのを見た西洋人は、猫族か何かかと思った。

みんなをつないでいる、海。みんなをつないでいる、食。よその人には渡さないだとか食べさせないだとか、どれだけ的外れな考えかーー。
料理人のことをさして、全ての化学者をおどろかす技術を有する者で哲学者に近いと言った、アメリカの作家がいた。
哲学は、主観的な判断である直感に基盤がおかれている科学である。感覚的判断を基礎としている点、料理も哲学なのかもしれない。時に、言葉や文字で説明することは困難で、人にうまく伝えることができないもの。心とか味とか。
「私たちは皆、媒介者であり翻訳者である」「脱構築とは、構造を解体することではなく、それがどのように成立しているかを示すことである」「何よりも語ることのできないものこそ、沈黙されるのではなく、書かれねばならない」ジャック・デリダ


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