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振り返り | 初めての”お家でビール造り”を通して

    「お家でビール造り」シリーズ #00〜#03 まで、初めてのホームブリューイングの記録を書いてきました。

    工程の記録としては、#03 のテイスティングでひと段落です。

    書いている中で、工程を追いかけるだけでは書ききれない気持ちや発見が、思っていた以上にたくさんありました。

    • キット缶を溶かした瞬間に広がる香りの幸せ

    • 工程の途中で生まれた、酵母への謎の愛着

    • 副原料を選んでいた時の、ちょっとした設計の"型"

    • 9 本並べてテイスティングしたときに、初めて見えた"限界"と"次への欲"

    • ホップの特徴の捉え方の変化

    工程記録とは別に、この 1 回目を通して私自身が受け取ったもの・感じたことをここに残しておこうと思います。

    ⚠️ 【重要】日本の酒税法について
    日本では酒税法により、免許を持たない個人がアルコール度数1%以上のお酒を製造することは禁止されています。
    ホームブリューイングを楽しむ際は、必ずアルコール度数が1%未満になるよう、原料の分量やレシピを調整してください。本ノートの内容も、この範囲内で仕込むことを前提としています。

    "造る過程"そのものの幸せ

    工程を"知っている"のと、実際に手を動かしてみるのとでは、印象がまったく違いました。
    この差こそが、1 回目で受け取った一番大きな発見だったと思います。

    • キット缶を溶かした瞬間にキッチン中に広がる麦の香り

    • 酵母をぱらぱら振りかけたときの星空みたいな景色

    • エアーロックにウィスキーを注ぐささやかな儀式感

    工程のひとつひとつが、それ自体で"ごほうび"みたいでした。

    仮にこれが仕事になったとしたら(実際の醸造所でのビール造りは工程が変わりますが)、この過程そのものの密度の濃さと幸福感は非常に魅力的だと思いました。

    クラフトビールに携わりたいとは言っみたものの、果たして醸造自体を自分がやりたいかどうかは疑問が残っていたので、実際に造ってみたことで、迷いがなくなりました。

    酵母への"愛おしい"という謎の感情

    ホームブリューイングを始める前、SNS でイースト菌を大事に育てている人を見かけて(たぶんパン作りの一環)、「これが可愛いのか…?」と正直あまりピンと来ていませんでした。

    でも、いざバケツの底に沈んだ酵母たちを見た瞬間、「あ、確かに可愛い」と自然に思ってしまったんですよね。

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    愛しき酵母だち

    「ひと仕事終えてお疲れさま」「ありがとう」みたいな感謝の気持ちが湧いてきて、そのままシンクに流すのがちょっと忍びなくて….

    「生き物と一緒に何かを造るって、こういうことか」と少し腑に落ちた瞬間でした。

    副原料は"香り設計"から

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    二次発酵の仕込みで使用した副原料たち

    二次発酵の仕込みでは、9 本ぶんのレシピを一気に考えました。 ホップペレット 5 種類、スイカジュース、セージ、部屋で育てていたミント—

    並べた素材を前に、「何を何グラム入れるか」ではなく、「どんな香りにしたいか」を先に決めて、そこにホップを合わせにいくという順番で組み立てたレシピが、あとから見るとうまくいったものが多かったです。

    テイスティングで上位に来た Mint IPA・SUIKA IPA・Sage IPA は、いずれも「清涼感」「夏らしい甘い香り」「セージの華やかさ」という香りの主役が先にあって、それをどう活かすかを考えたレシピでした。

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    逆に、ホップの特徴など味わい側から発想したものは、キット缶の元の味に引っ張られたこともあり、キャラクターを出しづらかった印象です。

    次回以降も、まず香りを設計し、味は後追いで整えるという順番は守りたいポイントです。

    これはビールに限らず、ものづくり全般に言えることかもしれません。
    「何を作るか」ではなく「どんな体験を届けたいか」から逆算していく。デザインの仕事でも大事にしてきた順番と、どこか通じるものがある気がしました。

    副原料の"青さ・クセ"は目立ちやすい

    レシピを考えている段階では、「スイカ 入れすぎたら甘くなっちゃうかな」「セージなんて香りは強いけど、そこまで風味はないから気持ち多めに入れよ」なんて考えていましたが、完成して飲んでみると副原料の個性的な部分ほどずっと前に出ることがわかりました。

    スイカであれば甘さよりも、瓜科特有の青さ(スイカの”皮”の味を想像してください)。
    セージであれば、セージ紅茶の飲みにくさを誇張したようなイメージです。

    副原料は「香りが立つ最小量」から始める。味は、美味しい部分(スイカであれば甘さ)を他の原料で引き立てるように設計すると美味しくなりやすいのでは?と考えています。

    次回、検証していきたいと思います。

    キット缶の"天井"

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    IPAのキット缶とホップペレット

    キット缶は、初めての醸造にとって本当に心強い味方でした。工程をごっそりスキップさせてくれるし、失敗しにくいし…CookDo みたいなものです。

    一方で、9 本のテイスティングを通して感じたのは、どのレシピもキット缶の"元の味"に引っ張られるということ。

    ミントやスイカが上手くハマったのも、副原料の力に加えて、キット缶側のキャラクターとの噛み合わせに恵まれた面が大きい気がしています。

    もっと手前…モルトの選定、ビタリングホップ、水質等から自分でレシピを組めれば、表現の幅は一気に広がるはずです。

    「キット缶で簡単においしく」から「もっと本格的に、自分の 1 本を造りたい」という気持ちに。。。研究魂に火がついた感覚です 笑

    キット缶を使用し"天井"が見えたことで、さらに本格的なビール造りに挑戦するモチベーションが高まりました!

    ホップの変化と、それぞれのキャラクター

    今回は、5 種類のホップを扱いました。

    ペレットを袋から出したときの生の香りと、発酵を経てビールになった後の味わいの"変化"をしっかりと確認できました。

    またホップそれぞれのキャラクターの違いが、9 本のテイスティングを通して見えてきました。

    元からホップの品種毎の特徴は知識としては知っていましたが、自分で仕込んだものをテイスティングすることで、「このホップがこの香り&風味」という紐付けが正確になりました。

    「あ〜、あの時飲んだクラフトビールで言っていたのはこれかぁ….」という具合に納得感が増したことと、知識に対してのギャップも見えてきました。

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    テイスティングノートの内容より再編集

    1️⃣ ホップにはそれぞれ"役割"がある

    5 種を均等にブレンドしたレシピを基準に、そこから一部を抜いたレシピと飲み比べると、どのホップが何の役割を担っていたかが浮かび上がってきました。

    • カスケード:柑橘の華やかさ、グレープフルーツ感の主役

    • シムコー・シトラ:力強さ・厚み・個性のパンチ

    • ザーツ:"深み"を出したり、まとめてくれたり、飲みやすくしたり

    • モザイク:ミルクの方な後味や青さが個性的なので、一味違ったテイストを加えてくれる。”遊び”や”抜け感”要因

    5種ブレンドからシムコーを抜くと、力強さがすっと抜けて丸くなる。
    逆にザーツとカスケードを抜くと、シトラ・シムコー・モザイクの個性が前に出るもののなぜが物足りない(深みがない)。

    レシピを検討しているときは、実際の風味を知らず、知識(文字列)だけで考えていたので、フルーツを混ぜ合わせる感覚に近かったのだと思います。当然フルーツジュースを造っているわけではないので、想像とは異なる変化を実感することができました。

    レシピ設計の解像度が一段上がったと思います。

    2️⃣ シトラの"メロン感"はどこにある?

    シトラの特徴として、「グレープフルーツ、メロン、ライム」のフレーバーがあるのですが、単独で仕込んで飲んでみるとグレフルとライム系の酸味は感じられたのに、メロン感は感じられませんでした。

    ドライホッピングの温度? 量? 他のホップとの組み合わせ? 原因の見当がついていないので、次バッチではここを検証したいです。

    3️⃣ モザイクの"ブルーベリー感"の正体

    モザイクを単独で仕込んでも、特徴であるブルーベリーの香りは前に出てきませんでした。
    代わりに現れたのは、青々しい草っぽさと、後味のミルクっぽさでした。

    しかし、そもそもブルーベリー味と聞いて、みなさん瞬時に思い浮かぶものはありますか?
    前提を疑ってみようと思います。

    私はグミが好きなので、こないだ食べたブルーベリー味のグミを思い出してみるのですが、いまいちピンときませんでした。
    そうです、"ブルーベリーの味"というものに、市販のものですら納得がいっていなかったのです。

    実際にブルーベリーをうたったクラフトビール(ブルーベリーは未使用で、ホップの風味のみ)も飲んだことがありますが、ピンときていませんでした。

    それに、大玉で甘いブルーベリーもあれば、小さく酸味の強いブルーベリーもあります。ブルーベリーは個体差が大きく、実はそこまで特徴的な味わいではないのかもしれないと考えました。

    ブルーベリー自体が香りより酸味・青さで印象を残す果実であると定義すると、いわゆるベリー系の酸味と甘い香り、そして独特の青っぽさに分解することができます。

    ・・・

    なんと!それはまさに、モザイクのみで仕込んだビールを飲んだ際の印象そのものではありませんか!

    つまり、モザイクを表す"ブルーベリー"という比喩はこの味のことだったのです。

    また、乳糖と合わせたら、あのミルクっぽさをさらに引き出せるかもしれません。甘みを追加した際に、より馴染みのあるブルーベリーに近づくかもしれないとも思いました。(あまり酸っぱいブルーベリーって食べませんからね)

    次の仕込みに向けて

    1 回目を経ての「次にやりたいこと」も、いくつか具体的に見えてきました。

    1️⃣ 看板 IPA を造る — 「私の作る IPA はこれだ!」というレシピ開発

    一番熱があるのはここです。
    ホップの個性を単独で味わえたことと、上位に来た Hopping IPA(5 種ブレンド)で「配合次第でここまでいける」という手応えが持てたことで、ホップ配合をもっと工夫し組み立てるレシピ開発にちゃんと踏み込みたくなりました。

    2️⃣ サワー・ゴーゼへの挑戦

    もともと一番好きなスタイルがゴーゼで、次いでヘイジー IPAでした。
    今回、副原料の扱いや低アルコール(酒税法の 1% 未満)とのバランス感を経験できたことで、酸味のある爽やかなビールを美味しく造れそうな希望が持てました。

    低アルコール × 酸味 × 塩みという構成は、家庭醸造との相性も良いはずなので、次のバッチかその次あたりで、サワー方面にも枝を伸ばしてみたいです。

    また、キット缶の天井も知れたことと、今回の成功でハードルも下がったので、無理にキット缶に頼らず(サワー等は売っていなかったこともあり)、より本格的なビール造りに挑戦してみたいと思います。

    3️⃣ ヘイジー IPA への挑戦

    今回、二次発酵の仕込みでホップペレットを大量に入れたからか、仕上がりが濁ってヘイジーに近い味わいになっていました。良くも悪くも…ですが(濁り自体は狙ったものではない)。

    とはいえ、この"偶然"を仮説の入り口として、IPA のキット缶をベースにしつつも水質を調整しつつ、一次発酵側でも工夫を入れれば、ヘイジー寄りの 1 本も造れるのでは? という気になっています。
    看板 IPA の研究と並行で、いつか試してみたいテーマです。

    さいごに

    造ってみてはじめて、工程のひとつひとつがこんなに愛おしいものだと知りました。そして奥深い….研究したいことが無限に広がって見えます。

    ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
    この記事がクラフトビールの奥深さを少しでも垣間見るものになったら嬉しいです!

    それでは、また〜


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    アート方面での制作活動 と デザイナーとしての生活活動。そしてクラフトビール造りへ! 一気通貫した"物に閉じないモノづくり"を軸にお仕事させていただいています。 #ブルワー#ジャパンビアソムリエ#アートディレクター#デザイナー#グラフィック#Web #UI・UX #絵画....

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