
【魔王軍ノベルス5】魔王様、音楽革命隊は、異世界を征服できるの?第5話
魔王軍AIラノベ版です。
( ※この記事はフィクションです。)
トトさんの「一行から始まる物語プロンプト」
を利用させていただいてます。

第五話 「音楽を鳴らすな」と言われた街
翌朝。
リンドベルを出発する準備をしていた音楽革命隊の前に、見慣れない男が立っていた。
昨日、広場で一緒に演奏したレオンだった。
「ミキ」
「レオン? どうしたの?」
「これを」
差し出されたのは、一枚の紙だった。
昨日の夜に届いたものと、ほとんど同じ文面だった。
――次の街では、音楽を鳴らすな。
ミキは紙を裏返した。
「これだけ?」
「ああ」
「誰が書いたの?」
「分からない」
レオンは首を振った。
「だが、心当たりはある」
ノアが口を開いた。
「聞こう」
「次に向かう街は、ここから北へ行ったところにある小さな町だ」
レオンは地図を指した。
「そこでは最近、街の音楽活動が急に減っている」
「急に?」
「楽器を演奏する店が閉まり、広場での演奏も禁止された」
ミキの表情が曇った。
「なんで?」
「理由は分からない」
レオンは少し間を置いた。
「ただ、街の人たちは音楽を嫌っているわけじゃない」
「じゃあ、誰かが止めてる?」
「おそらく」
ミキはベースケースを背負った。
「行こう」
ノアが振り返る。
「予定通りだな」
「うん」
「怖くないのか?」
「ちょっとは」
ミキは笑った。
「でも、音楽を鳴らすなって言われたら、余計に鳴らしたくなるじゃん」
「お前らしいな」
音楽革命隊は、リンドベルを出発した。
街道を北へ進む。
途中から、景色が変わった。
店が減った。
人も少なくなった。
そして、街へ近づくにつれて、妙な静けさが増していった。
「……静かすぎる」
ミキが呟いた。
ミーノ参謀が頷く。
「音がありません」
「街なのに?」
「はい」
馬車が街へ入る。
住民たちはこちらを見た。

しかし、誰も近づいてこない。
誰も声をかけない。
昨日までのリンドベルとは正反対だった。
広場には、立派なステージがある。
だが、使われていない。
その脇には、古い楽器店があった。
看板は外され、扉も閉まっている。
「ここ、本当に音楽の街だったの?」
ミキが尋ねる。
一人の老人が答えた。
「昔はな」
「今は?」
「……音を出すと怒られる」
「誰に?」
老人は答えなかった。
代わりに、広場の奥を見た。
そこには数人の男たちが立っていた。
魔王軍ではない。
だが、街の人々とは明らかに違う。
男たちの中央にいる人物が、こちらへ歩いてきた。
「魔王軍だな」
低い声だった。
「そうだ」
ノアが答える。
「この街で演奏するつもりか?」
「その予定だ」
「帰れ」

即答だった。
ミキが眉をひそめる。
「どうして?」
「この街では、音楽は禁止されている」
「誰が決めたの?」
「俺だ」
男は答えた。
「この街の責任者だ」
ミキは広場を見渡した。
「でも、街の人たちは音楽を嫌ってないよね?」
「関係ない」
「あるよ」
ミキは言った。
「音楽を聴くかどうかは、その人が決めることだから」
男の顔が険しくなる。
「魔王軍が正義を語るのか?」
「正義とかじゃない」
ミキはベースケースを開いた。
「ただ、弾きたいだけ」
「やめろ」
「嫌だ」
ミキはベースを構えた。
男たちが動く。
だが、その前に。
「待て」
ノアが手を上げた。
ミキが振り返る。
「魔王様?」
「演奏する前に、一つだけ聞こう」
ノアは男を見た。
「なぜ音楽を禁止したのだ?」
男は答えなかった。
しばらくして、低い声で言った。
「……音楽は、人を変えるからだ」
「それが理由か?」
「それだけじゃない」
男は拳を握った。
「音楽が広まると、人は集まる。人が集まれば、話し合う。話し合えば、今まで黙っていたことを口にする」
ノアは黙って聞いていた。
「だから禁止した」
「……なるほど」
ミキが口を開いた。
「じゃあ」
男を見る。
「あなたが怖いのは、音楽じゃないんだ」
「何?」
「音楽を聴いた人が、自分で考え始めることが怖いんでしょ」
男の顔が強張った。
広場の端で、誰かが息を呑む。
老人だった。
その隣には、子どもが立っている。
「ミキ」
ミーノ参謀が小声で言った。
「どうする?」
ミキは答えなかった。
代わりに、ベースの弦に指を置いた。
ノアがそれを見る。
「弾くのか?」
「うん」
「止められるぞ」
「うん」
「騒ぎになる」
「うん」
「それでも?」
ミキは笑った。
「だから弾くんだよ」
低音が鳴った。
一音。
たった一音だった。
だが。
誰も止めなかった。
街の人々が顔を上げる。
閉ざされていた店の窓が、ひとつ開いた。

そして。
古い楽器店の扉が、ゆっくりと開いた。
中から、埃をかぶったギターを抱えた老人が出てくる。
「……久しぶりだな」
老人は呟いた。
ミキが笑った。
「じゃあ、一緒にやろう」
老人は震える手でギターを構えた。
次の音が鳴る。
今度は二つ。
三つ。
やがて、街のあちこちから音が集まり始めた。
閉じていた店。
使われなくなった楽器。
押し入れにしまわれていた太鼓。
誰かが持ってきた笛。
止められていた音楽が、少しずつ広場へ集まってくる。
「やめろ!」
男が叫んだ。
「やめろと言っている!」
だが、誰も止まらなかった。
ノアはその光景を見ながら、静かに言った。
「……音楽革命隊」
ミキが振り向く。
「はい!」
「演奏を続けろ!」

「了解!」
ミキが笑った。
そして、さらに強く弦を鳴らした。
街に音が戻っていく。
それは、戦争の音ではなかった。
誰かを倒す音でもない。
ただ、長い間閉じ込められていた人々が、自分の意思で鳴らす音だった。
演奏が終わったとき。
広場には、これまで一度も聞いたことのないほど大きな拍手が響いた。
ノアは腕を組んだまま、その音を聞いていた。
「……征服、か」
誰にも聞こえないほど小さく呟く。
その顔には、いつもの険しさがなかった。
その夜。
音楽革命隊の前には、新しい依頼が三件届いていた。
さらに、その翌朝には七件。
そして、その中に書かれていた文字。
――魔王軍音楽革命隊へ。
――あなたたちの音を、こちらにも届けてほしい。
ミキはそれを読み、笑った。
「ねえ、魔王様」
「なんだ」
「これ、もう遠征じゃなくてツアーじゃない?」
ノアはしばらく黙った。
「……言うな」
「なんで?」
「魔王軍としての威厳がなくなる」
「もう遅いと思う」
ミーノ参謀が静かに頷いた。
「私もそう思います」
「お前まで言うな」
魔王軍音楽革命隊。
その名前は、まだ異世界全体には知られていない。
だが。
誰かが音楽を止めようとした街でさえ、彼らの音を待つ人間が生まれた。
そして、その噂は次の街へ、さらにその先へと広がっていく。
魔王軍が攻めてくる。
そんな噂ではない。
もっと奇妙な噂だった。
――魔王軍が、ライブをしに来るらしい。
――第五話・完
《続きを読みますか?》
次回、第6話はこちら‼️
#魔王軍万歳 🙌
エンディング曲、「音楽革命隊行進曲」の歌詞です
作詞/作曲:魔王軍音楽革命隊(Suno) 補詞:mino
旗を掲げろ 門をひらけ
鉄の号令 地を揺らせ
黒曜の城に朝が来る
靴音そろえて坂を行く
古い掟を胸に刻み
新しい火種を手渡そう
恐れを越えて 列を組め
名もなき仲間と 声を合わせ
進め 音楽革命隊
玉座の前で誇りを鳴らせ
進め 崩れた壁の向こうへ
この行進は誰にも止められない
角笛ひとつで空が割れ
石畳まで震えだす
傷だらけの手で鍵を回し
閉じた扉を押し開けろ
昨日の鎖を踏み越えて
ひとりの願いを束ねてゆけ
進め 音楽革命隊
玉座の前で誇りを鳴らせ
進め 崩れた壁の向こうへ
この行進は誰にも止められない
サックスが裂く沈黙の列
ピアノが胸の奥を叩く
重なる足音 ひとつの意志
夜明けをこちらへ引き寄せろ
進め 音楽革命隊
旗を高く掲げて鳴らせ
進め 新しい門の向こうへ
この行進が世界を変えてゆく
号令は続く 列は進む
魔王軍音楽革命隊
今回の使用プロンプトを配布している、トトさんの記事です。⬇️
トトさんの楽しいプロンプト集です。⬇️
【魔王軍音楽革命隊シリーズ】
第4話はこちら⬇️
第3話はこちら⬇️
第2話はこちら⬇️
第1話はこちら⬇️
