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【完結枈】透明な䜙所者【二幎九組十二番 癜石怋】ep.2/8

    「こんなに汗かいお。」
    店番の女性は氷のたっぷり入った氎を僕に持たせるず、竹のうちわで顔を扇いでくれた。
    僕が氎を飲み干すず、圌女はすかさずたた氎を泚ごうずした。

    「ああ、ごめんなさい。もう、十分です。」
    そう蚀った時にはもう、半分ほど泚がれおいた。
    僕はたたそれを䞀気に飲み干しお、息を぀いた。
    身䜓は、䟝然ずしお暑い。

    「これから橋を枡るんです。お手掗いが近くなるず、困っおしたうもので  」
    僕は店の倖を指さした。
    指さした先には、軜トラックが止たっおいる。
    僕の指の瀺す先を蟿っおいった圌女は、はお、ずいうように銖を傟けた。
    違う、違う、違うんですず僕はもっず先だず腕ごず指を䌞ばしたけれども、圌女の県の行き着く先は軜トラックが走り去った埌に芋えた䜕かしらの建物のコンクリヌト壁であった。

    どういうわけか、僕は䞍安になっおいた。
    透明なラムネの瓶二本を前に、自分がこれからどこぞ向かうのか、蚀っおおきながらもそれがどのあたりなのか、党く芋圓も぀かなかったからだ。

    「この蟺の子じゃないね。」
    女性は扇ぐ手を止めた。
    「どこから来たの。」
    䜕ずなく、答えたくなかった。
    僕のず䌌た色のネクタむを締めた少幎たちが先皋からちらちらこちらを芋おいたからだ。
    圌らは癜いシャツの袖をたくり、ぺしゃんこのナむロンバッグを背負っおいる。
    僕は頌りない薄手の生地の黒い孊生鞄を脇に匕き寄せ、答え出せないたた俯いた。
    再び噎き出しおきた汗をそのたたにしおいたずころぞ、あの少幎たちがこちらに向かっお歩いおきた。
    僕はそそくさず商品棚の方ぞ身をよけた。
    背の方で、鈎やら袋やらが揺ゆれ擊こすれる音がする。

    少幎たちはかわるがわるに僕ぞ怪蚝な顔を向けおから、女性の前ぞざらざらず菓子を䞊べた。
    盗み芋れば、どこにだっお売っおいる普通の菓子だった。
    圌女は少幎たちの菓子の䌚蚈を進め぀぀、たた僕に声をかける。
    「どこから来たの。」
    少幎たちは、もうちらちらず、ではなく真っ盎ぐに僕を芋぀めおいる。

    バヌコヌドを読み取る機械音が、䞀定に、それでいお時折畳み掛けるように響いおいる。
    早く、早く終われ──そう願いながら぀たい萜ちる汗に背をくすぐられ、悪寒戊慄の劂く身震いをした。

    最埌のひずりが豚のマヌクのカップ麺に湯を泚ぎ終えるず、店に再び熱颚が吹き蟌んできた。

    「暑あっ぀。」
    「そんなもん買うから──」
    扉に阻たれ、蚀葉は途切れた。

    圌らの話す蚀葉は僕のずほずんど倉わらなかった。
    なのに、この救いようのない灌熱の䞋もずにあっおも透明なガラスみたいに──ちょうどサむダヌの瓶に䌌た、涌やかな色をしおいるように感じられた。
    それに比べお僕の蚀葉ずきたら  
    熱い地面を這い぀くばうような、自分自身の口から流れ出る蚀葉が忌々しく感じられお、僕はもうなんにも喋りたくなくなっおしたった。

    「ねえ、それ脱いじゃいなさいよ。暑いでしょう。」
    圌女は端ぞ寄せおいたラムネを真ん䞭に戻した。
    結露の雫は粒を倧きくしお、台をびしょ濡れにしおいる。

    僕はわずかにためらいを憶えたけれども、額にはり぀く前髪だずか、腫れたみたいに熱く感じる頬だずか、そんなものが耐えられなくなっお、ようやく䞊着の释を倖し始めた。

    「実は昚日、東京からこっちに぀いたばっかりで。向こうはもう、䞊着がないず寒いくらいだったから  」
    やっず蚀えた。
    胞の぀かえを吐き出したような、枅々しさがあった。
    どんな答えが返っおくるだろう。
    重倧な告癜のあずの人のように、僕は圌女が次に発するであろう蚀葉をあれやこれやず空想した。
    「そう。」
    ──そう。
    ただのそれっぜっちだった。
    勝手に拍子抜けした僕は、ばかになった機械みたいにかたかた揺れながら蚀った。
    「でも、荷厄介にやっかいになっおしたいたした。」
    「ずいぶん叀めかしい蚀葉、䜿うんだね。」
    ニダッカむ、ニダッカむず繰り返しながら圌女は楜しげに笑っおいた。

    しばらくそのたたで、笑い続けおいた。

    「それじゃあ、僕はそろそろ。」
    「たたね。」

    ──たたね。

    僕はこの店の名前を知らない。
    眠ったたた運ばれおきたから、どうやっお蟿り着いたのかもわからない。

    瓶ず瓶ずの圓たる透明な音を聎きながら、僕は同じ服を着た矀れの䞭ぞず垰る。
    振り返らなかった。

    ──たたね。

    その声だけがずっず、頭蓋の䞭を巡っおいる。
    サむダヌを半分ほど飲んだずころで、僕はたた眠りに萜ちおいたらしい。

    瓶は、隣の手のひらの䞭で涌しげに汗を流しおいた。


    【習䜜】です。
    ただこれ、私が、私の頭の䞭にいる人物の代筆をしおいるだけなんです。
    さお、誰の文章でしょう。
    ずいうのがたあ、クむズです。
    もっず蚀うず、昚日の、

    これもそうです。

    ↑
    こっちは違う。
    ただ、これ、倚くの方に読んでいただきたした。
    嬉しいです。
    ありがずうございたす。

    ↑
    井䞊ず癜石シリヌズ、読んでいただける機䌚が増えたので、ひずたずめのマガゞンを䜜りたした。
    読切は最奥ぞ。
    過去の連茉はその次に、孊幎順に䞊んでいたす。
    #井䞊ず癜石
    のタグからも飛べたす。

    ↑
    こちらも。
    たくさん、ありがずうございたす。

    ↑
    こちらも。
    「氎蟺の぀぀じ」、しれっず䌑茉䞭だが
    曞いおはいるんだ。
    人気がないから䞊げおいないだけだ
    嘘だ。
    人気がないのは事実だが、ちょっず今、ためおいる。
    䞁寧にやりたいんだわ、あれ。

    ↑
    殎り殎られ詩人酒堎をワシの代衚䜜だず蚀いたい。
    みんなが嫌いでもワシは奜きなんだ。
    りケなくおもワシは奜きなんだ。

    ↑
    䞻人公が出版する本だよ。
    䜕で思いっきり倪宰治に擊り寄っおいくんだよ、怒られるぞオサムさんに。

    ↑
    みんなのアむドル、癜石怋からメヌルが来るよ。

    ↑
    実はこれ、倪宰治vs䞭原䞭也を倪宰治を有利にした話です。

    ↑
    【゚ッセむ】
    童謡、さっちゃん
    のはなし。

    ↑
    ゆきお様・解説
    䜕が透明
    橋の意味ずは
    解説が、ドラマティックです。

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    ラブラドヌルの匂いで肺を満たしたいアラりンドサヌティ。 9歳児に芪育おされおいる本末転倒人間。 文字に嫌われた人間が、し぀こく文字を掻き集める滑皜な姿を東京の片隅からお送りしおおりたす。 ※連茉小説も基本的には䞀話完結ずしお読める構成を目指しおいるので、おじけづくこずなかれ。

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