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枕元の林檎、黒豆、カステイラ

    心だけが弱って、身体だけが元気だった時は、どうやら身体の方が気を遣って心にすり寄って行ったものだけれども。
    心の方は案外薄情で、その時の恩も忘れて、弱りきった身体に悪態をつく。

    「馬鹿め、弱虫。さっさと死んじまえ。」なぞと。
    そうさ、言われなくたって、じきに死ぬさ。
    身体はそう、いつだって心の言うことを静かに受け止めているのだ。
    「すまなかった。ごめんよ。」
    心がすっかり反省した時にはもう遅い。
    その時、身体はもう、かつてお前の望んだ通りになっているのだろうから。

    ここのところ、見かけるものといえば、たんぽぽ、傷だらけのチュウリップの花びら、これは赤だの黄色だの白だの日によっていろいろ、それからすみれ、なずな、これは心臓みたいな葉が連なっていてよい。
    これらはよいもの。

    自分の足と足趾、それから爪。
    これはあんまりよくないもの。
    白いんだか、黒いんだか、はっきりしないから、苛々としてくる。
    でも、苛立っているうちに眠りこけて、起きた時には何してたっけなあと忘れているのだから、世話ない。

    それから、最近は仏壇で微笑んでいる奴の気持ちがわずかながら、わかった。
    これはなかなかの発見だから、書き残しておかないとならない。
    奴らの代弁者として書いてみることにする。

    お供えをしてくれるのはありがたいけれど、そんなに早食いはできやしないよ。
    でもそれでいいんだろう。
    いつまでも置いておかれて、しなびていく林檎を、蠅にたかられる黒豆を、蟻につまみ喰われるカステイラを、ただ黙って見ているよりよっぽどいい。

    はつねちゃんが俺の枕元になにか置いたそばから八朔やさくが食ってしまって、「おいしい」なんて言い始めて、はつねちゃんが「もう」と頬を膨らませるのを見ている方がよほどいい。
    だからこれからも日に何遍でもいい。
    食いものを置いておくれよ。
    たんとね。


    ↑
    これの対みたいなもの。

    またスランプに入りましておめでとうございます。
    無理です。
    これはかなり前に書いたやつです、はい。
    もうね、本編も書いてないのにこれを出しちゃうあたりね、プライドないですよ。

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    本編はこれ。

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    最近のおすすめ。

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    ゆきお様・解説
    さて、これは食べ物の種類に意味があるのか?
    それとも?

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    ラブラドールの匂いで肺を満たしたいアラウンドサーティ。 9歳児に親育てされている本末転倒人間。 文字に嫌われた人間が、しつこく文字を掻き集める滑稽な姿を東京の片隅からお送りしております。 ※連載小説も基本的には一話完結として読める構成を目指しているので、おじけづくことなかれ。

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