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【検証】一目均衡表 三役好転を2006〜2026年の実データで262回試した結果

    一目均衡表は日本生まれの指標で、海外でも人気があります。中でも「三役好転」は、代表的な買いの合図ですよね。

    ただ、紹介されている検証は期間や銘柄が限られています。そこで、2006年以降の主要4ペアの日足で、同じ規則の成績を確かめました。

    この記事は、ネットや本で公開されているFX手法を、私が第三者の立場で過去データを使って検証したレポートです。手法の考案者は各出典の著者です。手法の販売や、売買の推奨を目的としたものではありません。

    先に結論

    判定は「要検証」でした(統計的に有意でない / OOS PF<1.1 / PF≥1の年が60%未満)。

    • 取引 262 回、勝率 27.9%、PF 1.24、最大DD -27.0%

    • 1回あたりの平均損益: コストを引く前(中値)は +26.95 pips → スプレッド・コスト・スワップまで含めると +23.60 pips

    • 期間の後半30%だけで見ると、PF は 1.07

    • エントリーの時刻だけをでたらめにした場合(銘柄・方向・保有期間は同じ、200回)の平均は +0.06 pips(コストを引く前)。この手法は、その90%を上回りました

    三役好転は PF1.24 でしたが、総損益の69.3%は2008年の1回の取引でした。上位2回を除くとマイナスで、大相場を1回つかめるかに左右される結果です。

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    (損益の推移(出典どおりの設定))

    ここからは、手法のルール → 出典が言っている成績 → 検証のやり方 → 結果 → 考察の順に見ていきます。解釈違いの設定(variant)の比較や年ごとの表など、細かいデータは最後の「付録」に置いておきました。

    1. どんな手法?

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    (表: 1. どんな手法?)

    一目均衡表の「三役好転」は、3つの条件がそろった状態を買いの合図とするものです。転換線が基準線を上抜けること、価格が雲の上にあること、遅行スパンが26本前の価格より上にあることです。

    ForexTester や Pineify などが検証例を紹介しています。日足・4時間足で勝率5割前後、リスクリワード2.5で期待値がプラスだった、という報告もあります。

    本検証では、4条件(先行スパン A > B を含む)が転換線の上抜けの足でそろったら、翌日の始値で建てます。損切りは基準線、決済は転換線と基準線の逆交差です。

    USD/JPY・AUD/USD・GBP/JPY・EUR/USD の日足で検証しました。

    ルール(手で再現できるように整理しました)

    1. 対象: USD/JPY、AUD/USD、GBP/JPY、EUR/USD。日足(NY 17:00 区切り)。指標は中値で計算

    2. 指標: 転換線(9日の高値と安値の中値)、基準線(26日)、先行スパン A(転換線と基準線の平均)、先行スパン B(52日の高値と安値の中値)。雲 = 26日前に計算した先行スパン A・B

    3. 買い: 転換線が基準線を上抜けた日に、終値が雲の上、終値が26日前の終値より上、先行スパン A が B より上 → 翌日の始値で買い。売りは対称

    4. 損切り: シグナルの日の基準線(基準線が終値より不利側にない場合は置かない)

    5. 決済: 転換線が基準線を反対に抜けた日の翌日始値

    出典

    ルールは出典の内容を私が要約したものです。原文は出典でご確認ください。

    2. 出典ではどんな成績だと言われている?

    勝率51.26%・純利益+109.02%(TradingView の119回)、USD/JPY・AUD/USD・GBP/JPY の4時間足・日足で勝率45%・リスクリワード2.5(2019〜2025年)

    主張の一覧(元のデータ)は付録に載せています。

    3. どうやって検証した?

    パラメータは出典の値のままです。結果を見てから都合よく調整することはしていません。出典で解釈が分かれるところは、別の設定(variant)として並べて試しました。

    • 期間: 2006-01-01 〜 2026-09-21、対象: USD/JPY, AUD/USD, GBP/JPY, EUR/USD、時間足: D

    • 価格データ: Dukascopy Bank SA historical datafeed, FRED / OECD Main Economic Indicators 3ヶ月金利(Bid/Ask の実データ)

    • 約定: 買いは Ask、売りは Bid。実際のスプレッドがそのまま効きます。シグナルは足が確定してから判定し、次の足の始値で約定させています

    • 同じ足で損切りと利確の両方に届いたときや、逆指値が足の途中で約定したときは、1分足でどちらが先かを確かめています。1分足がない期間や、1分足でも決められないときは、損切りが先だったことにしました(不利な側に倒す仮定)

    • 追加コスト: スリッページ 0.2 pips、手数料 0.0 pips

    機械的に検証するために置いた仮定や、原典との違いは付録にまとめました。

    4. 結果: 判定は「要検証」

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    (表: 4. 結果: 判定は「要検証」)

    PF(プロフィットファクター)は総利益 ÷ 総損失です。1より大きければプラス、小さければマイナス。最大DD(ドローダウン)は、資産が直前の最高値からいちばん大きく減った割合です。

    年ごとの損益

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    (年別損益)

    PF が1以上だった年は37.5%(16年中)でした。年ごとの数値は付録の表にあります。

    通貨ペア別

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    (表: 通貨ペア別)

    5. 評価: 共通の基準で採点すると

    後半の期間だけで見たり、スプレッドを1.5倍にしたりと、条件を厳しくしても成績が残るかも見ています。判定は、全手法共通の基準で機械的に付けました(取引100回以上・PF1.2以上・統計的に有意(同じ日の取引をまとめて検定し、解釈違いの variant は比較した数で補正)・後半30%の期間でも PF1.1以上・スプレッド1.5倍でも黒字・PF が1以上の年が6割以上 → 有望)。

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    (表: 5. 評価: 共通の基準で採点すると)
    • 基準を満たした点: 取引数 262 回、PF 1.24、スプレッド1.5倍の PF 1.22

    • 基準に届かなかった点: 統計的有意性(同じ日の取引をまとめた p値) 0.3773(基準 0.05 未満)、後半30%期間の PF 1.07(基準 1.1 以上)、PF が1以上だった年の割合 37.5%(16年中)(基準 60% 以上)

    p値は「本当は損益ゼロなのに、偶然これくらいの成績が出る確率」の目安です。小さいほど、偶然では説明しにくいということです。

    p値をはじめ、記事の数字の意味と計算のしかたは、解説記事にまとめています: https://note.com/icekingkling/n/n22cdea430be9

    6. 考察: なぜ出典と差が出たのか

    まずは、出典の主張と本検証の同じ指標を並べてみます。

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    (表: 6. 考察: なぜ出典と差が出たのか)

    出典の数値は、期間・対象・コストの扱いが本検証と異なる場合があります(上の主張の要約を参照)。

    三役好転で建て、基準線を損切り、転換線と基準線の逆交差で決済する base。機械判定は要検証でした。

    1回あたり平均+23.60pips(PF1.24、262回)です。

    ただ、正直この黒字はほぼ1回の取引によるものでした。総損益6,183.2pipsのうち、2008年10月に建てた GBP/JPY の売り1回が4,283.6pips(総損益の69.3%)。

    これを除くと PF は1.07、上位2回を除くと総損益は-121.8pipsのマイナスです。

    通貨ペア別の GBP/JPY(PF1.45)のプラスも、大半はこの1回。EUR/USD(PF1.77)には、そこまでの偏りはありません。

    AUD/USD(PF0.69)と USD/JPY(PF0.93)はマイナスでした。

    要検証とした3つの理由も、これと合います。同じ日の取引をまとめた検定では p=0.377 で、偶然と区別できません。

    後半の検証期間(OOS)の PF は1.07で、基準の1.1に届きませんでした。PF1以上の年も37.5%にとどまっています。

    年別では、2008年(PF4.75)・2014年(PF4.80)のように大きく勝つ年がある一方、2018年(PF0.03)のようにほぼ全敗の年もありました。

    コストを除いた中値では、平均+26.95pips。エントリー時刻をランダムにした場合の90.5%を上回りました。

    ただ、これだけで偶然と区別できる水準ではありません。Sharpe は0.11、最大連敗は13回でした。

    勝率は27.9%。出典の「勝率51.26%」「勝率45%」より、大幅に低い結果です。

    損切りにかかる取引が多い一方、決済の合図まで持った取引の利益が大きい。そんな形でした。

    決済を遅行スパンの逆交差にした variant(chikou_exit)も、PF1.27・p=0.665 で要検証。出典の「リスクリワード2.5」にならい、損切り幅の2.5倍で利確する variant(target_2_5r)は PF0.99 でした。

    出典の「期待値プラス」は再現できていません。

    出典の数字は、期間・銘柄・条件がそろっていない複数の検証の寄せ集めです。本検証と、直接は比べられません。

    限界は2つあります。1つ目は、基準線が終値より不利な側にない場合は、損切りを置いていないこと。

    2つ目は、日足で取引が年に十数回と少なく、2008年のような大相場が1回あるかどうかで結論が変わることです。

    まとめ

    • 一目均衡表 三役好転を2006-01-01 〜 2026-09-21の実データで検証し、出典どおりの設定の判定は 要検証 でした

    • 取引 262 回で PF 1.24、1回あたり平均 +23.60 pips(実際のスプレッド・コスト・スワップ込み)

    • この結果は過去の期間の話で、今後の成績を示すものではありません

    「この条件はおかしいのでは?」というご指摘や、検証してほしい手法があれば、ぜひコメントで教えてください。

    検証レポートの数字の読み方(PF・p値など): https://note.com/icekingkling/n/n22cdea430be9

    同じ基準で検証した、ほかの手法の記事も置いておきます。

    付録: 詳細データ

    出典で主張されている成績(一覧)

    • n: 119 / win_rate: 0.5126 / net_profit_pct: 109.02 / market: unknown

    • exit: chikou / win_rate: 0.59 / net_profit_pct: 35.67

    • pairs: USDJPY, AUDUSD, GBPJPY / tf: H4, D1 / period: 2019-2025 / win_rate: 0.45 / rr: 2.5 / expectancy_r: 0.575

    variant(解釈の違い)の比較

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    (表: variant(解釈の違い)の比較)

    判断は base(出典どおりの設定)を主にしています。いちばん良い variant だけを見ると、たまたま当たった設定を選んでしまいやすいからです。

    年別の成績(base)

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    (表: 年別の成績(base))

    補足分析: 出典との差はどこから来たか

    同じ注文を、コストなしの中値や、出典と同じ測り方(設定がある場合)でも約定させてみた結果です。t値・p値は、同じ日の取引をまとめた日ごとの損益で検定しています。

    base(出典どおり)

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    (表: base(出典どおり))
    • 1回あたりの取引コスト(コスト控除前 − スワップを除いた本検証): 2.64 pips(エントリー時スプレッドの中央値 1.90 pips)

    • 1回あたりのスワップ(本検証の損益に含む。業者の上乗せ年0.5%を想定): -0.71 pips

    • ランダム化ベンチマーク(同じ銘柄・方向・保有本数でエントリー時刻だけランダム、中値・コストなし、200回): 平均 0.06 ± 21.30 pips。本手法(コスト控除前 26.95 pips)はランダム試行の 90.5% を上回った

    • 上位トレードへの依存(数量加重): 総損益 6,183.2 pips(262回)のうち、最大の1回は GBP_JPY short(2008-10-07 建て)の 4,283.6 pips(総損益の 69.3%)。最大の1回を除くと PF 1.07・総損益 1,899.6 pips、上位2回を除くと総損益 -121.8 pips

    本検証での定義(機械化のために置いた仮定と、原典との差異)

    S12 一目均衡表 三役好転
    
    出典: ForexTester「Ichimoku Kinko Hyo Trading Strategy」/ Pineify「Ichimoku Cloud Strategy Success Rate」
    ルール(日足): 次の4条件がそろった足(三役好転)で、次の足の始値で買う(売りは対称の三役逆転)。
            1) 転換線(9)が基準線(26)を上抜ける  2) 終値が雲(26本前に計算した先行スパン A・B)の上
            3) 遅行スパン(終値)が26本前の終値より上  4) 先行スパン A が先行スパン B より上
            損切りはシグナル足の基準線、決済は転換線が基準線を下抜けた足の次の足の始値。
    
    原典との差異・機械化のための仮定:
    - 条件 1 は「上抜けた足」に限る(4条件のうち最後にそろったのが別の条件の場合は入らない)
    - 損切りは基準線そのもの(「基準線の外」の幅は原典で固定されていないため置かない)。基準線がシグナル足の終値より
      不利側にない場合は損切りを置かない
    - 先行スパン B = 直近52本の高値と安値の中値
    
    variants:
    - chikou_exit: 決済を「遅行スパンが26本前の終値を下回った(売りは上回った)足」に
    - target_2_5r: 決済条件に加えて、損切り幅の2.5倍で利確

    免責

    • 本記事は過去データに基づく検証結果の報告であり、将来の成果を保証するものではありません。

    • 特定の通貨ペア・金融商品の売買を推奨するものではなく、投資助言を目的とするものでもありません。

    • 紹介した手法の権利は各出典の考案者に帰属します。手法の詳細は出典をご確認ください。

    • 投資判断はご自身の責任で行ってください。

     
     
    ネットや書籍で紹介されているFX手法を、第三者として過去の実データで検証しています。実際のスプレッド込み・出典どおりの設定で、良い結果も悪い結果もそのまま公開。検証済み23手法(否定的16・要検証7)。売買の推奨・シグナル配信はしません。

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