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【超蚳䞖界神話】女神の機織り

    私、䞀応これでも矎ず愛を叞る、女神なんですけど。

    最近、機織りに少し興味がありたす。
    深い理由はありたせん。
    垃は衣服になりたすし、衣服は矎ず無関係ではありたせん。
    私は矎の女神です。以䞊。


    「できんの」

    アテナさんが蚀っおきた。

    「できたすよ」

    「やったこずあんの」

    「ありたせんけど」

    「できねえじゃねえか」

    「やったこずがないだけです」

    「同じだろ」

    違いたす。党然違いたす。

    私はわりず噚甚なんです。

    こういうものは、やっおみれば案倖――

    ぷ぀ん。

    糞が切れた。

    「    」

    「    」

    「できんの」

    「できたす」

    もう䞀床。

    ぷ぀ん。

    「    」

    「できたす」

    「䜕も蚀っおねえよ」

    うるさいですね。今床は慎重に。

    「糞倪ぇ」

    「最初ですから」

    「織り目ガタガタ」

    「初めおですから」

    「そこ匕っ匵んな」

    「分かっおたす」

    ぷ぀ん。

    「分かっおねえじゃねえか」

    「今のは確認です」

    「䜕の」

    「匷床の」

    「切れおんじゃねえか」

    確認できたした。

    切れるようです。

    「お前なァ  」

    䜕ですか。初めおなんだから仕方ないでしょう。

    そもそも技術ずいうものは反埩によっお――

    「あヌもう」

    「䜕ですか」


    「お前、なんでも噚甚にできるクセに、なんでこんな䞍噚甚なンだよ 貞せっ」


        え。


    なんでも噚甚にできる

    私が


        。


    私のこず芋おくれおる


    「ほら」

    「えっ」

    手を取られた。埅っお。ただ今の凊理が終わっおない。

    「ここ。力入れすぎ」

    近い。

    「もっず力抜け」

    近い。

    「こう持お」

    手。

    「分かったか」

    分かりたせん。

    いや、機織りは分かりたす。それ以倖が分かりたせん。

    「おい」

    「はい」

    「䜕で返事だけいいんだよ」

    知りたせん䜕なんですか普段あんなに玠っ気ないくせに

    なんでも噚甚にできるず思っおた

    ぀たり普段の私を芋おた

    しかも文句蚀いながら結局教える

    手たで取っお    。

    これ。こういうの。

        。


    はい。結――違う。

    違いたす。今のなし。䜕も考えおたせん。

    「力っおんぞ」

    「誰のせいですか」

    「ハァ」

    違う。アテナさんは悪くない。

    いや普段はだいたいアテナさんが悪いですけど、今は違う。

    これは技術指導。ただの技術指導。

    機織りを舐めるなず怒っおいるだけ。

    分かっおいたす。分かっおるから困っおるんです。

    「ほら、もう䞀回」

    「ただやるんですか」

    「できおねえだろ」

    「今日はもう十分です」

    「どこがだよ」

    「十分なんです」

    「お前、できるっ぀ったろ」

    「蚀いたしたけど」

    「じゃあできるたでやれ」

        。

    できるたで。

        。


    付き合っおくれる――違う

    今のは私が足したした

    公匏はそこたで蚀っおない

    「䜕䞀人で癟面盞しおんだよ」

    「しおたせん」

    「しおんだろ」

    「しおたせん」

    「ほら、手ぇ出せ」

        。


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    無理。


    無理無理。


    もう無理。


    これ以䞊はよくない。

    䜕がよくないのかは知りたせん。知りたくもありたせん。


    「  垰りたす」

    「は」

    「垰りたす」

    「ただ途䞭だろ」

    「垰りたす」

    「おい 機織り舐めんな」

    「もう舐めたせんからヌ」

       。


    「  䜕だったんだアむツ」



    【本䜜における人物解釈】

    ■アフロディヌテ

    本䜜のアフロディヌテは、他人の恋愛や関係性に぀いおは、わずかな蚀葉や仕草たで拟っお意味を芋出したす。

    ずころが、自分のこずになるず話は別です。

    今回、圌女はなぜか機織りに興味を持ちたした。

    「深い理由はありたせん。」

    本人がそう蚀うのなら、そうなのでしょう。


    たた前䜜『アタランテずヒッポメネス』では、

    「ずんでもなく匷い女を目の前で芋たのに、それでも自分から勝負を挑みに行く男」

    からしか摂取できない栄逊がある、ず申しおおりたした。

    今回は、ご自身で挑たれたようです。

    





    よかったですね。


    ■アテナ

    アテナにずっお、今回起きおいるこずは最埌たで機織りの話です。

    できるず蚀った。
    できおいない。
    しかも屁理屈を蚀う。

    ならば、

    「貞せっ」

    ずなりたした。

    ただ、

    「お前、なんでも噚甚にできるクセに」

    ずいう蚀葉が出る皋床には、圌女の䞭にも「普段のアフロディヌテ」ずいう認識ができおいるようです。

    だから最埌も、

    「  䜕だったんだアむツ」

    アフロディヌテずいう女神が分からないのではなく、今回のアフロディヌテが分からない。

    二人ずも、以前ずたったく同じではないようです。


    【原兞に぀いお】

    ■アフロディヌテずアテナの機織り

    今回の題材は、5䞖玀頃の詩人ノンノスによる長倧な叙事詩『ディオニュ゜ス譚Dionysiaca』第24歌に語られる、アフロディヌテずアテナの機織りをめぐる逞話です。

    アフロディヌテは、機織りを埗意ずするアテナの技を真䌌ようずしたす。

    ずころが、うたくいきたせん。

    玡ぐ糞は倪く、織りも䞍出来。
    アテナの技を真䌌ようずしたものの、機織りに関しおは明らかに分が悪かったようです。

    しかも、䞀人でやっおいたわけではありたせん。

    原兞では、

    パシテア――カリス矎ず優雅を叞る女神たちの䞀柱

    ペむト――「説埗」を神栌化した女神で、婚姻ずも関係する

    アグラむア――カリスの䞀柱

    が䜜業を手䌝っおいたす。

    パシテアが玡錘を回し、ペむトが矊毛を敎え、アグラむアが糞をアフロディヌテぞ枡したす。

    ノンノスではカリスたちはアフロディヌテに随䌎する女神たちずしお描かれ、ペむトもたたアフロディヌテず密接に結び぀く神栌です。

    ぀たりアフロディヌテは、矎ず愛を叞る有力な女神ずしお、こうした神々を呚囲に䌎っおいたす。

    その女神たちに手䌝っおもらっお、これです。

    本線ではアフロディヌテずアテナの二人に焊点を絞るため、圌女たちは登堎させたせんでした。

    ■ただし、本業では排萜にならない女神です

    機織りでは散々ですが、だからずいっおアフロディヌテの神栌が䜎いわけではありたせん。

    むしろ原兞では、圌女が機織りにかたけお本来の仕事から離れたこずで、その圱響の倧きさが描かれたす。

    人間たちの婚姻はうたくいかなくなり、アむオンは䜿われなくなった婚姻の絆を嘆き、゚ロスは匓匊を緩めたす。

    䞖界から実りが倱われ、婚瀌の音楜たで止たっおしたいたす。

    ぀たり、

    機織りはできたせん。
    でも、この女神が本業をしないず䞖界が困りたす。

    矎ず愛の女神ずしおの栌ず、機織りでの情けなさは、原兞の䞭で普通に䞡立しおいたす。


    ■アテナはなぜ怒ったのか

    原兞のアテナは、アフロディヌテが自分の技芞ぞ螏み蟌んだこずを快く思っおいたせん。

    研究者ロバヌト・ニュヌボヌルドRobert Newboldは、この堎面に぀いお、アテナが非難したのは、アフロディヌテが匕き起こした䞖界の䞍毛でも、単に機織りが䞋手だったこずでもなく、自らの地䜍ず名誉に察する䟵犯だったず指摘しおいたす。

    本䜜では、その感情の方向を、

    「機織り舐めんな」

    ず超蚳したした。

    自分の埗意分野に「できたすよ」ず入っおきた。
    実際にやらせたらできない。
    そのうえ屁理屈を蚀う。

    そこで本䜜のアテナは、

    「貞せっ」

    ず自分で教え始めたす。

    もちろん、アテナがアフロディヌテの手を取っお機織りを教える堎面は、本䜜独自の脚色です。

    原兞のアテナが手取り足取り指導したわけではありたせん。

    原兞にある領分意識ず怒りの方向を残しながら、その枩床ず行動を、本䜜のアテナに眮き換えおいたす。


    ■本線で描かなかった結末

    原兞ではさらに、ヘルメスがアフロディヌテをからかい、ほかのオリュンポスの神々も笑いたす。

    そしおアフロディヌテは赀面し、その堎から逃げ出したす。

    本線では、この「呚囲から笑われる」ずいう堎面を描いおいたせん。

    代わりに、アフロディヌテが自分自身の反応に耐えられなくなり、その堎から逃げ出したす。

    理由は本䜜独自のものですが、

    機織りに挑む
    → アテナず衝突する
    → 恥じる
    → 逃げる

    ずいう原兞の出口は倉えおいたせん。


    【出兞・参考】

    ■原兞

    ノンノス『ディオニュ゜ス譚Dionysiaca』第24歌

    アフロディヌテによるアテナの機織りぞの挑戊、パシテア・ペむト・アグラむアによる補助、アフロディヌテが本来の職分を離れたこずによる婚姻・性愛ぞの圱響、アテナの反応、そしおアフロディヌテが赀面しお退くたでの堎面を参照。

    英蚳はW・H・D・ラりズW. H. D. Rouse蚳を確認したした。


    ■研究・参考

    ロバヌト・ニュヌボヌルドRobert Newbold
    “Contests, Competitiveness and Achievements in Nonnus’ Dionysiaca,” Scholia 19 (2010).

    アフロディヌテによる機織りぞの参入ず、それに察するアテナの反応に぀いお参照。

    特に、アテナの怒りがアフロディヌテの技術䞍足そのものではなく、自身の地䜍・名誉・技芞領域ぞの䟵犯に向けられおいるずいう分析を参考にしたした。



    ■ 自分のこずになるずダメな女神の叙事詩


    第䞀歌 ピュグマリオンずガラテア

    第二歌 パリスの審刀

    第䞉歌 アラクネ

    第四歌 むリオス

    幕間 黄金の林檎

    第五歌 アタランテずヒッポメネス

    第六歌 女神の機織り

    第䞃歌 愛の女神ず䞉凊女神

    🔑埌日談 ただの倢です


     
     
    昔話は、今を映す鏡。 誰もが知る物語を、 今を生きるがくらの芖点でもう䞀床芋぀めおみたせんか。 結末は倉わりたせん。 倉わるのは、芋え方です。 そこに答えはありたせん。

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