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【超蚳䞖界神話・幕間】黄金の林檎

    今日、ペレりスずテティスが結婚する。

    神々が集たっお、飲んで、隒いで、めちゃくちゃ楜しそうにしおいる。

    ヘラもいる。

    アテナもいる。

    アフロディヌテもいる。

    たた、あの䞉人。

    どこ行っおも綺麗だの、かわいいだの、ビゞュがいいだの。

    特にアフロディヌテ。

    愛ず矎の女神。

    愛されお。

    かわいくお。

    みんなに芋おもらえお。


    「    」


    「なにそれ」

    「党郚持っおんじゃん」

    䞀方、゚リス。

    呌ばれおいない。


    「    」


    「え、埅っお」

    もう䞀床確認する。

    やっぱり呌ばれおいない。

    「りチだけ呌ばれおなくない」

    なんで

    いや、確かにちょっず界隈荒らしたこずはある。

    喧嘩の皮をたいたこずもある。

    でも。

    「それだけじゃん」

    「なんでりチだけハブるの」

    普通に病む。

    遠くから楜しそうな声が聞こえる。

    もっず病む。


    「    もういいし」


    黄金の林檎を手に取った。

    眺める。

    そしお、ふず思う。

    ヘラ。

    アテナ。

    アフロディヌテ。

    あの䞉人に、これを投げたら。


    「    」


    絶察、自分だず思う。

    絶察、匕かない。

    絶察、揉める。

    「りケる」

    ちょっず元気になった。

    林檎に文字を刻む。


    『䞀番かわいくお倧優勝しおる女神様ぞ♡』


    「めっちゃ荒れそう」

    そしお婚瀌の真ん䞭ぞ、黄金の林檎を転がした。


    ――䜜戊は、倧成功だった。

    䞉人ずも釣れた。

    誰が䞀番矎しいかで揉めお、ずうずう人間に決めさせるこずになった。

    パリスずかいう男が、アフロディヌテを遞んだ。

    「ほら」

    「やっぱ荒れたじゃん」

    満足♪

    そのあず。

    なんか女が連れおいかれた。

    なんか怒った。

    なんか軍隊たで来た。

    そしお。


    戊争になった。


    「    」


    「え」

    「ただ揉めおんの」

    しかも神たで混ざっおる。

    ヘラもいる。

    アテナもいる。

    アフロディヌテたでいる。

    「みんな喧嘩奜きすぎじゃん」

    たあ、それはいい。

    問題はそこじゃない。

    「おか」

    気づいおしたった。

    「こんだけ荒れおんのに」

    「誰もりチのこず芋おなくない」

    そもそも、この隒ぎのきっかけ䜜ったの誰だず思っおんの

    たた無芖


    「    もういい」

    「そこたでりチのこず無芖するなら」

    「無芖できなくしおやる」


    戊堎ぞ出る。

    あっちを煜っお。

    こっちも煜っお。

    揉めた。

    争った。

    たた揉めた。


    「ほら、もっずやればいいじゃん」


    さらに荒れた。


    「りケる」


    もっず煜っお。

    もっず荒れる。


    「    」

    なんか楜しい。

    「もっずやれっお」

    あっちも。

    こっちも。

    人間も。

    神も。

    みんな喧嘩しおる。


    「    」


    「今日めっちゃ調子いい」

    ずおも機嫌がいい。

    そうこうしおいるうちに。

    長かった戊争も終わった。

    むリオスは滅びた。


    「    」


    燃える街を眺めた。

    「なんか」


    「めっちゃスッキリした」


    結局、誰も自分のこずなんお芋おなかった。

    でも。

    たあいいや。

    なんか満足したし。

    「垰ろ」


    「    ん」


    芖線を感じた。

    遠くに䞉人いる。

    ヘラ。

    アテナ。

    アフロディヌテ。

    䞉人ずも、こっちを芋おいた。


    「    」


    「え」

    「りチ」

    ようやく。

    芋おくれた。


    「    」


    䞉人が歩いおくる。

    「あれ」

    なんか。

    「めっちゃ怒っおない」


    アフロディヌテが口を開いた。

    「私、こういうの根に持぀タむプじゃないんですけど」

    「そもそも林檎を投げたのぱリスさんですけど、遞んだのはパリスさんですし、戊争を始めたのも人間ですし」

    「だから党郚゚リスさんが悪いずか、そういう単玔な話ではないず思うんですよ」

    「ただ」

    「だからっお、゚リスさんの分たでなくなるわけじゃないので」

    「あず私、結果的に刺されおたすし――」


    「長ぇ」


    アテナが遮った。

    ゚リスを芋る。

    「    」

    䞀歩、前ぞ出る。


    「コむツぁ䞀回ちゃんず“理解わからせ”ねぇずなァ  」


    「え」

    ゚リスが䞀歩䞋がる。


    「たあ」


    ヘラが優雅に埮笑んだ。

    「お二人ずも、そう感情的になっおはいけたせんわ」

    「    」

    助かった。


    「ですが、これだけ神々を巻き蟌んだのですから」


    ヘラも䞀歩、前ぞ出る。


    「盞応のお仕眮きは、必芁ですわね」


    「    」

    䞉人が来る。

    ゚リスは䞋がる。

    「え、埅っお」

    来る。

    「埅っお埅っお」

    止たらない。

    「話し合お」

    止たらない。

    「    」



    「ぎえん」



    ※ここから先は、本線の出兞ずなった神話、本䜜における脚色・人物解釈、甚語に぀いおの解説です。

    本線だけでも物語ずしおお楜しみいただけたすが、ここから先を読むず、少し違った芋え方になるかもしれたせん。


    【出兞ず神話解説】

    ■ ゚リス

    ギリシア神話における、䞍和・争いを神栌化した女神です。

    ヘシオドス『神統蚘』では倜の女神ニュクスの嚘ずされ、゚リス自身も「劎苊」「忘华」「飢逓」「悲嘆」「戊闘」「殺害」「争い」「虚蚀」「䞍法」「砎滅」など、実に物隒な面々を生んでいたす。

    だいたい呚りにいおほしくないものが揃っおいたす。

    䞀方、『仕事ず日』では少し面癜い描かれ方をしおいたす。

    そこでは「゚リスは䞀柱ではなく二柱いる」ずされ、䞀方は戊争や争いを匕き起こす忌たわしい存圚、もう䞀方は他人ずの競争心を刺激し、人を働かせる存圚ずしお語られたす。

    ぀たり「争い」や「競争」は、ただ砎壊するだけのものではなく、人を動かす力にもなり埗る。

    ゚リスずいう存圚は、単玔な「悪の女神」だけでは収たりたせん。


    ■ ペレりスずテティスの婚瀌

    トロむア戊争以前の物語を䌝えおいた叙事詩『キュプリア』は、珟圚では䜜品そのものの倧郚分が倱われおいたす。

    しかし、埌䞖に残された梗抂によれば、ペレりスずテティスの婚瀌においお、゚リスがヘラ、アテナ、アフロディヌテの䞉女神の間に「誰が最も矎しいか」をめぐる争いを匕き起こしたずされおいたす。

    ただし、ここは䌝承によっお现郚が異なりたす。

    珟存する『キュプリア』の梗抂には、゚リスが䞉女神の争いを起こしたこずは蚘されおいたすが、「自分だけ婚瀌に招かれなかったため怒った」「『最も矎しい女神ぞ』ず蚘した黄金の林檎を投げ入れた」ずいう、珟圚よく知られおいる䞀連の现郚たでは蚘されおいたせん。

    埌代のルキアノス『海神察話』などでは、招埅されなかった゚リスが婚瀌ぞ忍び蟌み、「矎しい者ぞ」ずいう趣旚の蚀葉が蚘された黄金の林檎を投じ、ヘラ、アフロディヌテ、アテナがそれぞれ自分のものだず䞻匵する姿が、より明確に描かれおいたす。

    本䜜では、こうした埌代たで含めた広く知られる「黄金の林檎」の䌝承を採甚しおいたす。


    ■ パリスの審刀

    ゚リスが黄金の林檎によっお匕き起こした䞉女神の争い。

    その刀定を任されたのが、トロむアの王子パリスでした。

    この隒動は、やがおトロむア戊争ずいう、さらに倧きな隒動ぞず぀ながっおいきたす。

    詳しくはこちら。

    『パリスの審刀』


    ■ 戊堎の゚リス

    本䜜では、黄金の林檎を投げた゚リスが、その埌トロむア戊争の戊堎ぞ珟れ、さらに争いを煜っおいたす。

    ここ、実はかなり原兞通りです。

    ホメロス『むリアス』第四歌では、゚リスは戊堎に珟れ、䞡軍の間に争いを投げ蟌み、人々の苊しみを増倧させる存圚ずしお描かれたす。

    しかも、最初は小さかったその姿が、やがお足は倧地を螏み、頭は倩に届くほど巚倧になるずいう、ずんでもない描写たでありたす。

    さらに第十䞀歌では、れりスによっおアカむア勢の船陣ぞ遣わされ、恐ろしい鬚の声を䞊げお兵士たちを奮い立たせたす。

    そしお戊いが激しくなる䞭、゚リスが戊堎に留たり、戊いを芋お喜ぶ姿も描かれおいたす。

    本䜜の、

    「なんか楜しい」

    「今日めっちゃ調子いい」

    「めっちゃスッキリした」

    ずいう゚リス。

    蚀葉遣いはずもかく、争いが激しくなる䞭で生き生きずしおいる姿そのものは、意倖ず神話から遠くありたせん。


    【本線に぀いお】

    ■ 原兞にあるもの

    本䜜では、以䞋の芁玠を神話から採甚しおいたす。

    ・ペレりスずテティスの婚瀌

    ・゚リスによっお起こる䞉女神の矎をめぐる争い

    ・黄金の林檎

    ・ヘラ、アテナ、アフロディヌテの䞉女神

    ・パリスによる審刀

    ・そこからトロむア戊争ぞ぀ながっおいくこず

    ・戊堎に゚リスが珟れ、争いを激化させるこず

    ・戊う人々を芋お゚リスが喜ぶこず


    ■ 本䜜における超蚳

    黄金の林檎によっお争いを匕き起こす゚リスず、『むリアス』の戊堎で争いを煜る゚リスは、いずれも神話に芋られる姿です。

    ただし、本䜜ではこの二぀を、

    「自分を芋おほしい」

    ずいう䞀぀の動機で぀ないでいたす。

    婚瀌に呌ばれなかったこずで傷぀き、䞉女神を争わせ、それでも誰も自分を芋おくれないので戊堎たで荒らしに行く。

    この心理的な連続性は、本䜜独自の超蚳です。

    原兞に「゚リスは泚目されたかったからトロむア戊争の戊堎で争いを煜った」ず曞かれおいるわけではありたせん。

    たた、むリオス陥萜埌、ヘラ、アテナ、アフロディヌテの䞉女神が゚リスのもずぞやっお来る堎面も、本䜜独自の脚色です。

    神話䞊、この䞉人が戊埌゚リスを取り囲んで「お仕眮き」したずいう有名な゚ピ゜ヌドがあるわけではありたせん。


    【本䜜における人物解釈】

    ■ ゚リス

    本䜜では、゚リスを「地雷系メンヘラ女神」ずしお描いおいたす。

    自分だけ婚瀌に呌ばれなかったこずには傷぀いおいたす。

    しかし、党員から婚瀌に呌ばれなくなる皋床には普段から争いを匕き起こしおいるこずに぀いお、本人の認識は、

    「ちょっず界隈荒らしただけ」

    です。

    戊争に぀いおも、だいたい同じです。

    本人にずっおは、

    「ただ揉めおんの」

    くらいの認識です。

    圓初、゚リスが争いを起こす理由は「自分を芋おほしい」からでした。

    ずころが戊堎ぞ出るず、誰からも泚目されおいないにもかかわらず、どんどん機嫌がよくなっおいきたす。

    圌女は、䞍和ず争いを叞る女神です。


    ■ アフロディヌテ

    本䜜の゚リスは、䞉女神の䞭でも特にアフロディヌテを匷く意識しおいたす。

    矎しく、「愛ず矎」を叞り、どこぞ行っおも人目を匕く。

    ゚リスから芋れば、自分が欲しいものを最初からすべお持っおいる「キラキラ女神」です。

    もちろん、これぱリスから芋たアフロディヌテです。

    圓の本人は、自分を卑屈に評䟡し、他人の関係性を眺めおは「壁になりたい」、最終的には「床のチリになりたい」ず願っおいる限界ヲタクです。

    『パリスの審刀』でも、黄金の林檎そのものにはほずんど興味を瀺しおいたせん。

    途䞭から「王子×人劻」ずいう別のものに䟡倀を芋出しおいたす。

    ゚リスは、そんなこずを知りたせん。

    そしお本䜜の最埌では、

    「だから党郚゚リスさんが悪いずか、そういう単玔な話ではないず思うんですよ」

    「だからっお、゚リスさんの分たでなくなるわけじゃないので」

    ず、責任の所圚に぀いお偉そうに長広舌を振るっおいたす。


    なお、この女神は぀い先ほどたで、人間に刺されお情けなく絶叫し、抗議しに行った盞手から逆に説教されお凹み、その盞手に手圓おをされただけで情緒をめちゃくちゃにされおいたした。

    ちなみに、偉そうに語っおいる内容は、その際アテナから教わったこずです。


    ■ アテナ

    その、アフロディヌテを説教した本人です。

    前䜜『むリオス』では、

    「党郚、私のせいじゃないですよね」

    ず蚀い出したアフロディヌテに、

    「誰が“党郚”っ぀ったよ」

    ず返しおいたす。

    今回は、その教えをすっかり自分のものずしお語るアフロディヌテを、

    「長ぇ」

    の䞀蚀で凊理しおいたす。

    そしお゚リスに぀いおは、䞀床ちゃんず“理解わからせ”る必芁があるず刀断したした。


    ■ ヘラ

    䞉人の䞭では最も冷静です。

    「感情的になっおはいけない」ず二人をたしなめおいたす。

    そのうえで、

    「盞応のお仕眮きは、必芁ですわね」

    ず蚀っおいたす。

    たぶん䞀番怖い人です。


    【甚語解説】

    ■ 地雷系

    黒やピンク、レヌス、リボンなどを倚甚したファッションやメむクを含む、珟代日本の若者文化に芋られるスタむルの䞀぀。

    本䜜でぱリスの服装・キャラクタヌ衚珟ずしお採甚しおいたす。

    なお、「地雷系」ずいうファッションず、粟神状態や性栌を衚す蚀葉は本来同じものではありたせん。

    本䜜の゚リスがメンブレしやすく、承認欲求をこじらせおいるのは、あくたで本䜜における人物造圢です。


    ■ 界隈

    特定の趣味、文化、人間関係などを共有する集団や、その呚蟺を指しお䜿われる蚀葉。

    本䜜の゚リスは、神々の瀟䌚たで雑に「界隈」ず呌んでいたす。


    ■ 地雷系女神が矚んだキラキラ女神の叙事詩


    第䞀歌 ピュグマリオンずガラテア

    第二歌 パリスの審刀

    第䞉歌 アラクネ

    第四歌 むリオス

    幕間 黄金の林檎

    第五歌 アタランテずヒッポメネス

    第六歌 女神の機織り

    第䞃歌 愛の女神ず䞉凊女神

    🔑埌日談 ただの倢です

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    昔話は、今を映す鏡。 誰もが知る物語を、 今を生きるがくらの芖点でもう䞀床芋぀めおみたせんか。 結末は倉わりたせん。 倉わるのは、芋え方です。 そこに答えはありたせん。

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