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【超蚳䞖界神話】アタランテずヒッポメネス

    私、䞀応これでも矎ず愛を叞る、女神なんですけど。

    今日も今日ずお䞋界を巡回しおたんですよ。

    仕事なんで。

    ほら、愛の女神だからっお毎日むケメンずキャッキャしおるわけじゃないから。

    むしろそういうの、倖から芋おる方が奜きだし。

    で。

    芋぀けたんですよ。


    アタランテ。


    速い。

    いや。

    速すぎるでしょ。

    男たちが次々ず競走を挑んでは、党員たずめお眮き去りにされおいる。

    なんでも圌女ず結婚したければ、競走で勝たなければならないらしい。

    勝おば結婚。

    負ければ死。

        。

    重い。

    愛に呜懞けるの、そういう意味じゃないんですよ。

    そこぞ䞀人の男がやっおきた。

    ヒッポメネス。

    最初は圌も、

    「女䞀人のために呜懞けるずか䜕考えおんの」

    みたいな顔で芋おたんですよ。

    うん。

    分かる。

    私もだいたい同じこず思っおたした。

    で、アタランテさんを芋た。

        。


    挑戊したした。


    早。

    萜ちるの早。


    さっきたでの話どこ行ったんですか。

    でも。

    実際にアタランテさんが走るずころを芋お。

    他の男たちが負けるずころも芋お。

    それでも自分から勝負を挑みに行く。


        いい。


    『ずんでもなく匷い女を目の前で芋たのに、それでも自分から勝負を挑みに行く男』からしか摂取できない栄逊があるんですよ  。

    ずころが。

    アタランテさんの方も、なんかおかしい。

    ヒッポメネスさんを芋る目が、ちょっず違う。

    いや。

    ただ䜕も蚀いたせんよ。

    こういうの勝手に決め぀けるの、よくないので。


    公匏は最倧限尊重しないず。


    でも。

    死んでほしくなさそう。

    逃げおほしそう。

    他の女なら喜んで結婚するだろうずか考えおる。

    もし自分が結婚するなら――


        。

    埅っお。

    これ知っおる。


    私、これ知っおたす。

    本人だけ気づいおないや぀。

    自分だけは違うず思っお、理由぀けお、ただ奜きじゃないこずにしおるや぀。



    䞀番ダメなや぀


    いや奜きじゃん。

    もう奜きじゃん。

    埅っお埅っお。

    本人、気づいおないの

    無理。

        。

    いや。

    萜ち着いお。

    ただです。

    公匏は最倧限尊重しないず。


    競走が決たった。

    するずヒッポメネスさん。

    私に祈っおきた。


    助けおほしい、ず。

        。


    はい、本人から䟝頌が来たした。


    勝手に介入するのはギルティですよでも、本人から頌たれたなら話は別です。


    本人からの正匏な䟝頌です。


    私は黄金の林檎を䞉個枡したした。

    䜿い方も教えたした。

    あずは二人の問題です。

    私は芋おるだけ。

    この距離感が䞀番いいんですよ  


    競走が始たった。

    やっぱりアタランテさんが速い。

    速いんですけど。


        。


    今、足緩めたしたよね

    ヒッポメネスさんの顔を芋た。

    長く芋た。

    それから远い抜いた。

        。

    たた。

    たた足を緩めた。

    たた顔を芋た。

      䜕回芋るんですか

    远い抜けるのに

        。


    はい。


    今、結婚したした。


    いや違う。

    ただです。

    危な。


    ヒッポメネスさんが、䞀個目の林檎を投げたした。

    それをアタランテさんが拟いたす。

    よし。

    その間にヒッポメネスさんが前ぞ――

        。

    远い぀いた。

    速っ。

    そのたた抜いた。

    二個目。

    拟った。

    今床こそ――

        。

    たた远い぀いた。


    この人速すぎたせん


    残るは䞀個。

    ヒッポメネスさんが、私にもう䞀床助けを求めた。

    䞉個目の林檎が、倧きく暪ぞ飛ぶ。

    アタランテさんが芋る。

        。

    芋る。

        。

    拟わない

    いや。

    本人が拟わないなら、それは本人の意思です。

    そこは尊重しないず。

    私、そういうの倧事にするので。

        。

    でも。

    ヒッポメネスさんは私に助けを求めたしたよね。

    林檎を枡したのも私。

    䜿い方を教えたのも私。

    だったら最埌たでサポヌトするのは、業務の範囲ずいうか。

        。


    業務です。\large \textbf{\text{業務です。}}


    ちょっずだけ。

    ほんのちょっずだけですから。

    アタランテさんが、䞉個目の林檎を拟った。

    ヒッポメネスさんが走る。

    走る。

    そのたた――

    勝った。

        。

    よし。

    圓事者同士が頑匵る。

    私は必芁なずころだけ、ちょっず手䌝う。

    あずは遠くから芋守る。

    誰にも認識されない。

    二人の関係にも入らない。

    やっぱりこれが䞀番いい。


    他人の恋愛、健康にいい。


    【原兞解説】

    本䜜では、オりィディりス『倉身物語』第10巻に描かれる、アタランテずヒッポメネスの物語を䞭心に採甚しおいたす。

    アタランテは、䞊倖れた俊足を誇る女性です。

    圌女には結婚を避けるべきだずいう神蚗があり、求婚者たちに、自分ずの競走に勝おば結婚、負ければ死ずいう条件を課したす。

    そこぞ珟れたのがヒッポメネスでした。

    圓初は、女性䞀人のために呜を懞ける男たちを理解できずにいた圌も、アタランテを目にするず態床を䞀倉。

    自らも競走ぞ挑みたす。

    䞀方のアタランテも、ヒッポメネスに死んでほしくない、逃げおほしい、もし自分が結婚するなら――ず心を揺らしたす。

    しかし、本人はそれを恋だず理解しおいたせん。

    オりィディりスも、圌女が恋を知らないため、自分が恋しおいるこずに気づいおいないず描いおいたす。

    競走が始たるず、アタランテは䜕床も速床を緩め、ヒッポメネスの顔を長く芋぀め、名残惜しそうに圌を远い抜きたす。

    ヒッポメネスはりェヌス――ギリシア神話でいうアフロディヌテぞ助力を求めたす。

    りェヌスは䞉個の黄金の林檎を䞎え、その䜿い方を教えたした。

    䞀個目、二個目。

    アタランテは林檎を拟うこずで遅れたすが、そのたびにヒッポメネスぞ远い぀き、再び圌を远い抜きたす。

    䞉個目を投げる際、ヒッポメネスは再びりェヌスぞ助力を求めたす。

    アタランテは林檎を拟うべきか迷いたすが、ここでりェヌス自身が介入したす。

    アタランテに林檎を取りに行かせ、さらに果実ぞ重さを加えるこずで圌女を遅らせたす。

    その結果、ヒッポメネスは競走に勝利したした。

    なお、本䜜では「本人の意思は尊重しないず」ず申しおいた女神は、

    原兞でも手を出しおいたす。


    【本䜜では描かなかった、その埌】

    オりィディりス版の物語には続きがありたす。

    勝利したヒッポメネスは、自分を助けたりェヌスぞ感謝を瀺すこずを怠りたす。

    これを䞍敬ず受け取ったりェヌスは、今埌自らが軜んじられないための戒めずしお報埩したす。

    二人が神々の母キュベレに結び぀く聖域ぞやっおきた際、りェヌスはヒッポメネスに抑えがたい欲望を起こさせたす。

    二人はそこで亀わり、聖域を汚したこずで、キュベレによっお獅子ぞず姿を倉えられたした。

    珟代の感芚から芋れば、感謝を怠ったこずぞの報埩ずしおは、あたりにも苛烈に芋えたす。

    しかし、りェヌスの行動にも理由がありたす。

    自らの恩恵を受けながら、神ぞの敬意を瀺さなかった。

    それを䞍敬ず捉え、戒めが必芁だず考えた。

    理由はある。

    ただ、その理由ず結果の釣り合いが、必ずしも人間の尺床ではありたせん。

    神話の神々は、人間より少し匷く、少し長く生きるだけの存圚ではありたせん。

    本䜜では、そんな神々の行動を、珟代人にも理解しやすい人栌や蚀葉ぞ眮き換えお描いおいたす。

    しかし、それによっお神々のすべおを、珟代人ず同じ尺床の人栌ぞ眮き換えられるわけではありたせん。

    なお、アタランテの物語には耇数の䌝承があり、求婚者をメラニオンずするものなど、现郚には異同がありたす。

    本䜜では、それらを混圚させず、オりィディりス『倉身物語』第10巻を䞭心に構成しおいたす。


    【甚語解説】

    ■アタランテ

    ギリシア神話に登堎する女性英雄。

    優れた狩猟の腕ず、䞊倖れた俊足で知られおいたす。

    その出自や父芪の名前、参加した冒険などに぀いおは䌝承によっお違いがありたす。

    たた、圌女に求婚する男性に぀いおも、本䜜で採甚したヒッポメネスのほか、メラニオンずする䌝承がありたす。


    ■ヒッポメネス

    本䜜でアタランテぞ競走を挑んだ男性。

    オりィディりス版では、最初は呜を懞けおアタランテぞ挑む男たちを理解できずにいたした。

    ずころが、実際に圌女を目にするず態床を䞀倉。

    自らも競走ぞ挑み、りェヌスぞ助力を求めたす。


    ■黄金の林檎

    りェヌスがヒッポメネスぞ䞎えた、䞉個の黄金の林檎。

    オりィディりス版では、キプロス島のタマ゜スにあるりェヌスの聖域に、黄金の葉ず黄金の実を぀ける朚があり、そこから埗たものずされおいたす。

    『パリスの審刀』にも、黄金の林檎が登堎したすが、別の林檎です。


    ■公匏

    オタク文化では、原䜜や䜜者、制䜜偎などから瀺された正芏の蚭定や情報、描写などを、

    「公匏」

    ず呌ぶこずがありたす。

    二次創䜜やファンによる解釈ず区別する際にも䜿われたす。

    本䜜のアフロディヌテは、

    「公匏は最倧限尊重する」

    こずを信条ずしおいたす。
    ただし。

    その「尊重」がどこたで培底されるかに぀いおは、
    本線をご確認ください。


    ■公匏が最倧手

    原䜜や公匏から提瀺される描写が、ファンの想像や二次創䜜にも負けないほど匷い堎合などに䜿われる衚珟。

    同人掻動などで芏暡や人気の倧きなサヌクルを「倧手」「最倧手」ず呌ぶこずになぞらえた蚀い方です。

    本䜜ではアフロディヌテが、

    「本人だけ気づいおないや぀」

    ず倧隒ぎしおいたす。

    しかしオりィディりスは、アタランテが自分の恋心に気づいおいないこずを、かなりはっきり曞いおいたす。

    さらに、

    䜕床も速床を緩める。

    顔を長く芋る。

    名残惜しそうに远い抜く。

    公匏が最王手です。


    ■「〇〇からしか摂取できない栄逊がある」

    特定の䜜品、人物、関係性、属性、シチュ゚ヌションなどから埗られる、ほかでは代替しにくい満足感や掻力を、

    「栄逊」

    にたずえたむンタヌネット䞊の衚珟。

    「掚しカプからしか埗られない栄逊がある」

    などのように䜿われたす。

    本䜜のアフロディヌテは、

    『ずんでもなく匷い女を目の前で芋たのに、それでも自分から勝負を挑みに行く男』

    から摂取できるそうです。

    かなり现かく成分が指定されおいたす。


    ■壁になりたい

    奜きな人物やカップリングの間ぞ自分自身が参加するのではなく、その堎の壁や倩井などになっお、存圚感を消したたた眺めおいたい、ずいうオタク的な願望を衚す蚀葉。

    本䜜のアフロディヌテも、この思想を持っおいたす。

    ただし圌女の堎合、自分ずいう芳枬者の存圚によっお、二人の自然な関係性が少しでも倉わるこずを嫌うずころたで、かなり先鋭化しおいたす。

    『ピュグマリオンずガラテア』では、壁ですら存圚感が匷すぎるず刀断し、

    最終的に、

    「床のチリ」

    を垌望したした。

    今䜜でも、

    誰にも認識されない。

    二人の関係にも入らない。

    そんな距離を理想ずしおいたす。

    本人によれば、

    他人の恋愛は健康にいいそうです。


    ■ 他人の恋愛で健康になる女神の叙事詩


    第䞀歌 ピュグマリオンずガラテア

    第二歌 パリスの審刀

    第䞉歌 アラクネ

    第四歌 むリオス

    幕間 黄金の林檎

    第五歌 アタランテずヒッポメネス

    第六歌 女神の機織り

    第䞃歌 愛の女神ず䞉凊女神

    🔑埌日談 ただの倢です



     
     
    昔話は、今を映す鏡。 誰もが知る物語を、 今を生きるがくらの芖点でもう䞀床芋぀めおみたせんか。 結末は倉わりたせん。 倉わるのは、芋え方です。 そこに答えはありたせん。

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