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【AIゲーム開発】AIに渡すゲーム企画書の書き方|思っていたのと違う、をなくすテンプレート付き

AIに「こんなゲームを作って」と頼むと、それらしいものは驚くほど早く出てきます。ところが、遊んでみると、思っていたものと何かが違う。そこで「ここを直して」と頼むと、今度は直していないはずの別のところが変わってしまう。

そんなことを何度か繰り返すうちに、自分が最初に何を作りたかったのか、だんだん分からなくなっていくのはよくある話です。

そうならないためにもという対策は過去の記事でもたくさん書いてきましたが、今回はやりたいことを迷わない、軌道修正しやすくするための方法をお届けいたします。

この記事では、AIを活用してゲームを作るときの企画書を、人に見せる企画書とどう書き分けるかをお話しします。

企画書の書き方そのものは、これまでにも何本か書いてきました。ただ、それはどれも、チームの仲間やパブリッシャー(ゲームを売り出してくれる会社)のような「人」に見せるための企画書でした。

今回は、渡す相手が「AI」のときの話です。相手が変わると、書くべき場所が変わります。

人に見せる企画書の書き方は、こちらに書いています。
https://note.com/ukyousan/n/n498bcbcd5b2f

この記事で手に入るのは、次のものです。

  • 人に見せる企画書と、AIに渡す企画書の違い

  • AIで作るとき、企画書がないと起きる3つのこと(私の失敗談つき)

  • AIに渡す企画書に書く5つのこと

  • 企画書を、作っている間ずっと「正しい元」にする方法

  • 架空のゲームで、書く前と書いた後を比べた例

  • (実践編)コピーして使えるテンプレート

  • (実践編)AIに企画書の穴を探してもらう指示文と、穴の埋め方

  • (実践編)作りながら企画書を育てる手順と、できあがったものの確かめ方

前半だけでも、AIに渡す企画書の考え方と書き方は分かるようにしてあります。

Ⅰ|人に見せる企画書と、AIに渡す企画書は、相手が違う

人に見せる企画書は、読んだ人に「これは面白そうだ、やってみよう」と判断してもらうためのものです。ですから、何が新しいのか、なぜ今なのか、誰に売れるのかといった、相手の心を動かす部分に力を入れて書きます。細かいところは書かなくても大丈夫です。人は行間を読んでくれますし、分からなければ「ここはどういう意味?」と聞き返してくれるからです。

AIは、そうはいきません。AIは、企画書に書いていないところを、多くの場合、聞き返さずに自分で埋めてしまいます。そして、その埋め方は、たいてい「よくある形」です。たとえば「かわいい雰囲気のパズルゲーム」とだけ書けば、どこかで見たことのある、かわいいパズルゲームらしい色と形が出てきます。あなたが頭の中に思い描いていた「かわいい」とは、少し違うものになるはずです。

これは、AIの性能が低いからではありません。AIがどれだけ日本語を読めても、あなたの頭の中にしかない「かわいい」の基準までは分からないからです。それに私は、いまのAIは、日本語の細かいニュアンスや言葉の裏にある背景を、まだ繊細にはくみ取れないと思っています。大まかで、ありきたりな方向の答えを出すのは得意です。でも、あなたのゲームにしかない細かいこだわりは、色や形のように、見て確かめられる言葉で書いてもらわないと伝わらないのです。

つまり、人に見せる企画書は「通すため」のもので、AIに渡す企画書は「ずれないため」のものです。目的が違うので、力を入れて書く場所も違ってきます。

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Ⅱ|AIで作るとき、企画書がないと起きる3つのこと

では、AIに渡す企画書がなかったり、足りなかったりすると、何が起きるのでしょうか。私自身の経験から、よく起きることを3つ挙げます。

1つ目は、思っていたのと違うものが出てくることです。これは、Ⅰで書いたとおり、決めていないところをAIが勝手に決めるために起きます。困るのは、出てきたものがそれなりによくできていることです。それなりによくできているので、「まあ、これでもいいか」と受け入れてしまいやすい。そうして受け入れた小さなずれが積み重なると、最後には、自分が作りたかったものとは別のゲームになってしまいます。

2つ目は、直すたびに、別のところが変わってしまうことです。私がいまAIで作っている、自動で走るアクションゲームで、こんなことがありました。最初のステージで「牛にさわると、ポヨンとはねて気持ちいい」と遊び方を教えておいたのに、別のステージを直してもらったら、さわるとダメージを受ける牛が置かれていたのです。プレイヤーは、見た目でルールを覚えます。同じ見た目の牛で、さっき教えたルールと逆のことが起きたら、裏切られたように感じてしまいます。これは、AIが悪いわけではありません。「この見た目の物には、このルール」という、変えてはいけない決まりを、私がどこにも書いていなかったのが原因でした。

3つ目は、途中で、何を作っていたのか分からなくなることです。AIとのやり取りは、会話の形で進みます。「ここはこうしよう」「やっぱりこっちにしよう」と決めたことは、どんどん会話の上の方へ流れていきます。会話が長くなると、前の方で決めたことは、人もAIも振り返りにくくなります。使うツールによっては、古い会話が、次の作業のときにAIに渡されないこともあります。決めたことが、一か所にまとまって残っていないのです。

3つとも、根っこは同じです。AIは、書いてあることは守ろうとしますが、書いていないことは守れません。書いてあっても読み落とすことはあるので、必ず守られるという保証はありません。それでも、守ってほしいことが書いてあれば、ずれたときに「ここが違う」と企画書を指して直してもらえます。だから、AIを活用してゲームを作るなら、守ってほしいことを書いた企画書が必要になります。

Ⅲ|AIに渡す企画書に書く5つのこと

AIに渡す企画書には、次の5つを書きます。人に見せる企画書と重なるところもありますが、力を入れる場所が違います。

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1つ目は、誰の、どんな時間のためのゲームなのかです。「通勤電車の中で、1回3分だけ遊ぶ大人のためのゲーム」のように、遊ぶ人と、遊ぶ場面を一行で書きます。これがあると、AIは画面の大きさや、1回の長さ、文字の量などを、その場面に合わせて考えられるようになります。

2つ目は、遊びの流れです。1回遊ぶと、プレイヤーが何を見て、何を決めて、何が起きて、どう終わるのか。これを、順番に短く書きます。私の経験では、この流れを書かずに作り始めると、AIは数字の調整ばかりを繰り返すようになります。先ほどの走るゲームでも、「単調だ」と感じたときに、AIは障害物の間隔や速さを何度も変えてくれました。でも、単調さは直りませんでした。足りなかったのは数字ではなく、遊んでいる1分の中で「驚く」「迷う」「気持ちいい」といった瞬間が何回あるか、という体験の流れのほうだったのです。

別のゲームでは、見た目を先に作り込んで、一気に公開したことがありました。ところが、公開してから1時間ほどで「遊びづらい」と分かり、前の版に戻すことになりました。遊んでみて初めて分かることもあるので、これを全部防げたとは言いません。ただ、見た目を磨く前に、遊びの流れを先に試すべきでした。企画書にも、先に確かめる遊び方を書いておけばよかったと思っています。

3つ目は、変えてはいけないことです。ここから先の3つが、人に見せる企画書との一番の違いです。ゲームのルールの決まりごと(同じ見た目の物は、同じルールで動く、など)、見た目の決まりごと(使う色、文字の大きさ、ボタンの形など)、そして、このゲームの一番の売りになっている部分。こうした「何があっても変えないでほしいこと」を書いておきます。AIに直しを頼むときに、ここに書いたことは崩さないように、と伝えられるようになります。

4つ目は、まだ決めていないことです。決めていないことを書く、というのは不思議に聞こえるかもしれません。でも、これを書いておかないと、AIはそこを勝手に決めてしまいます。「主人公の見た目は、まだ決めていない。仮の四角で置いておくこと」「敵の種類は、遊んでから決める。今は1種類だけ」のように書いておけば、AIが勝手に決めてしまうことを減らせます。決めるのは、あとで人がやることです。

5つ目は、作らないものです。今回の範囲の外にあるものを書きます。「オンライン対戦は作らない」「課金の仕組みは入れない」「タイトル画面は最後に作る」のように書きます。AIは気を利かせて、頼んでいない機能まで作ってくれることがあります。それ自体は親切なのですが、作るものが増えるほど、壊れる場所も増えます。作らないものを書いておくと、ゲームを作り切れる大きさに保てます。

Ⅳ|企画書は、作っている間ずっと「正しい元」にする

AIに渡す企画書は、最初に1回書いて終わり、ではありません。作っている間ずっと、「これが正しい」と言える元として持ち続けます。

具体的には、2つのことをします。1つは、AIとの会話の中で何かを決めたら、それを企画書に書き戻すことです。会話はどんどん流れていきますが、企画書に書いたことは一か所に残ります。もう1つは、AIに作業を頼むときに、毎回、最初に企画書を読んでもらうことです。そうすれば、長い会話の前の方で決めたことも、毎回あらためてAIに伝えられます。

私は、見た目のデザインについては、デザインツールのデータを「正しい元」にしています。ゲームの見た目を直したら、そのデザインのデータにも同じ直しを入れる。逆に、デザインのデータを直したら、ゲームにもそれを入れる。どちらか片方だけが新しくなると、次にAIに頼んだとき、古いほうを元にして作られてしまうことがあるからです。

Ⅴ|架空のゲームで、書く前と書いた後を比べる

ここでは、架空のゲームで、5つのことを実際に書いてみます。なお、この例は説明のために作った架空のゲームです。題材は「雨の日だけ開く小さな古本屋で、来たお客さんに合う本を1冊すすめるゲーム」です。

まず、企画書を書かずに、AIに一言だけ頼んだ場合です。

書く前の頼み方(架空の例)
雨の日の古本屋で、お客さんに本をすすめるゲームを作って。癒やし系で。

この頼み方だと、何が出てくるかは使うAIによって変わります。ただ、たとえば、お客さんが次々にやってきて、本を選ぶたびにお金が増え、店を大きくしていく経営の要素が足されてきたとしましょう。それはそれで遊べますが、作りたかったのが、1人のお客さんとゆっくり向き合う静かなゲームだったとしたら、困ります。しかも、この一文だけでは、どこが「違う」のかを伝える手がかりがありません。「癒やし系」という言葉は、経営のゲームにも当てはまってしまうからです。

では、Ⅲの5つのことを書いてみます。最後に、作りながら決めたことを書き足す欄も付けておきます。

書いた後の企画書(架空の例)
■ 1.誰の、どんな時間のためのゲームか
寝る前に、1日の終わりの10分だけ、静かに遊びたい大人のためのゲーム
■ 2.遊びの流れ
・始まり:雨の音がする店内。お客さんが1人だけ入ってくる
・くり返すこと:お客さんの短い話を聞く→棚から本を3冊まで手に取って中身をのぞく→1冊を選んで渡す
・終わり:お客さんが本を受け取って帰る。1回で1人だけ
・1回の中で起きてほしい瞬間:迷う(2回)、ホッとする(最後に1回)
■ 3.変えてはいけないこと
・ルールの決まり:正解の本は1冊ではない。どの本を渡しても、お客さんは怒らない
・見た目の決まり:色は茶色と深い緑と生成り色の3色まで。文字は大きめ
・一番の売り:お客さんの話の中にある、小さな手がかりに気づく瞬間
■ 4.まだ決めていないこと
・お客さんの見た目/試作では影の形で置く/自分が、遊びの流れが固まってから決める
・最終的な本の数/試作では12冊/自分が、10人分遊んでから決める
■ 5.作らないもの
・お金、お店の成長、時間制限、点数
■ 6.決めたことの記録
・10/26:時間制限はなし/急がせると、話を聞くゲームにならないから

この企画書があれば、AIがお金や店の成長を足してしまう心配は、ぐっと減ります。「作らないもの」に書いてあるからです。もし足されてしまっても、「5の作らないものに反しています」と、企画書を指して直してもらえます。そして、迷ったときにAIが判断に使える、「一番の売り」と「変えてはいけないこと」がはっきりしています。あとで「もう少しゲームらしくしたい」と頼むときも、「一番の売りを強める方向で案を出して」と添えれば、点数を足すのではなく、手がかりに気づく瞬間を増やす案が出てきやすくなります。

AIを活用すれば、作ること自体はとても速くなりました。でも、速く作れるぶん、ずれも速く積み重なります。そのずれを止めてくれるのが、AIに渡す企画書です。何を作るかを決めて、言葉にして、作っている間ずっと持ち続ける。AIを活用するほど、この地味な作業が効いてきます。

ゲームの企画の考え方は、ほかにも書いています。あわせてどうぞ。
・ゲーム企画の考え方・現代版|熱量で作り、認知を同時に設計する
https://note.com/ukyousan/n/n8aaa77b8377c
・企画と仕様、最初はどこまで考えておくか?
https://note.com/ukyousan/n/n0fce5fab3a76
・「良いものを作れば届く」は祈りでしかない。"認知の設計"を意図して作れ
https://note.com/ukyousan/n/n5003a14e0c92
・ゲーム開発未経験の方に送る、AI活用時の利点と注意点
https://note.com/ukyousan/n/n01e29d25b668
・ゲーム企画書の作り方。製作の参考例。考え方
https://note.com/ukyousan/n/nfbf1ff732884
・【ワークブック】ゲーム企画の作り方
https://note.com/ukyousan/n/nfbd8e75c8086

ここから先の実践編では、Ⅴの古本屋の例をそのまま自分のゲームに置き換えられるテンプレートをお渡しします。さらに、AIに企画書の穴を探してもらう指示文と、見つかった穴を古本屋の例で実際に埋めて、最初の制作を頼むまでの流れを載せています。作りながら企画書を育てる手順と、できあがったものを企画書と照らし合わせて直してもらう方法も、あわせてまとめました。AIでゲームを作り始めた方、これから作る方に向けて書いています。

 
 
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