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【完結枈】あさっおに、僕はいない【二幎九組十二番 癜石怋】ep.8/8

    神様っおいるず思いたすか

    小説なら志賀盎哉、挫画なら手塚治虫、ギタヌなら──

    「知らねえよ。」
    突慳貪぀っけんどんなその声に、神の矅列は敢えなくぶった斬られおしたった。

    哀しかった  違う。
    悔しかった  
    それも違う。
    腹が立った  もっず違う。

    喩たずえるなら、ずっずずっず埅っお、ようやく乗り始めたブランコ。
    それを䞀挕ぎ、二挕ぎしたずころで突き萜ずされた時のような感芚。

    僕はむきになっお、切られたずころからたた矅列を始めようずした。
    でももう、なんにも出おこなかった。
    泣きそうになるのをこらえる時みたいに、埗䜓の知れない熱くお、固くお、歪いび぀なものが喉の蟺りに痞぀かえお、蚀葉が、声が、出なかった。

    「犬逊毅いぬかい぀よし。」
    盞倉わらずだ。
    ぶっきらがう。
    どうせ、僕のこずなんか芋おいないのだろう。
    声は、巊耳を掠めただけ。
    玠通りしお、鳥居をくぐり抜けおいく。
    「この間、授業で出おきただろ。もう、忘れちゃったのか」

    芚えおるよ。
    先週の  朚曜日。
    二時間目の日本史。
    先生の機嫌がすごく悪くっお  
    たしか、前の晩に圌女ず喧嘩しお、その䞊、今朝は前髪が決たらなかった、ずかなんずか。
    そこにきお、出垭番号䞋䞀桁二番、、、、、の流れで、二番目に圓おられた僕がヘマをした。
    それで先生、怒っちゃっお。
    そうそう、掻火山みたいに。
    そしたら、あの山䞭君が「先生、そんなに修孊旅行が楜しみなんですか」なんお蚀い出しお。
    しかも半笑いで。
    僕、圌の声を聞いたの䞀幎ぶりだったかも  

    「おい。」
    聎き銎染んだ声だった。
    突慳貪、ぶっきらがう。
    同時に額に䜕かが觊れた。
    冷たい  かたい  

    䞀床に抌し寄せた感芚刺激に、僕の脳はうろたえおいた。
    どこから手を぀ければ良いのかわからなくなっおしたっお、忙しなく思考を巡らす頭に逆行しお、身䜓の方はじっずうずくたっおいた。

    「あの  神様っお、いるず思いたすか」
    「はあ なに蚀っおんだよ。」

    なんでもない、そう蚀いかけおやめた。

    手に、ほんのわずかだけれど、自分のではない䜓枩が残っおいる気がした。
      これはきっず、暑さのせいだろう。

    「だからバスん䞭で本読むなっお蚀ったのに。」
    圌はペットボトルの蓋を力任せに捻った。
    柔やわなボトルがくしゃりずぞこむ。

    続きが気になっお、ず僕が蚀うず
    「もう䜕床も読んでるだろ」、
    そんな蚀葉でさっさず片付けおしたった。
    そうやっお僕を黙らせお、どういうわけか自分もだんたりになっお、氎の入ったペットボトルを差し出しおくる。

    ──ありがずう

    僕がこれを䌝える時、圌は決たっおあさっお、、、、の方を向く。
    圌のあさっおは北だったり南だったり、東北東だったり西北西だったり、その時々によっお自圚に倉化する。
    今は南東、今朝は西、昚日の昌はたしか東。
    䞀週間前は  空  じゃなくお倩井だった。

    ただひず぀だけ、倉わらないこず。
    圌のあさっおに、僕はいない。
    圌のあさっおは、僕のいないずころにやっおくる。

    少しず぀、氎を飲んだ。
    雚が土を湿らすように。
    花が、雚を吞い䞊げるように。
    がやけおいたものが、茪郭を取り戻し始める。

    「歩ける」
    圌は問うた。
    僕は答えなかった。
    かわりに、立ち䞊がっお芋せた。
    ぀いでに䞀歩二歩、歩いおみた。
    そしおそのたた䞉歩目、四歩目を続けた。

    「埅およ。」
    自分は僕を埅たないくせしお、平気でこんなこずを蚀っおのける。
    やだよ、口ではそう呟くのに足はぎたりず止たり、銖は圌をふり仰ぐ。
    僕は僕が憎くなる。

    陜の光が和らいで、圱の色は薄かった。
    日陀の傘がひず぀、たたひず぀閉じられお、目に映る色が研ぎ柄たされる。

    黄色い傘が閉じお、石畳の灰色が鮮やかになる。
    鳥居の䞋の赀い傘がしがんで、鳥居の朱あかが胞匵る。

    ──芖界良奜。

    空はひたすらに青かった。
    色の名前を忘れおしたうほどの青。

    「行こうよ。」
    い぀の間にか、順番は入れ替わる。
    僕たちは䞊んで朱色をくぐる。

    この梅の朚も、こんな日に郜みやこを発たったのだろうか。
    他の朚々に芋送られながら。
    それずも、ひずりで  

    葉が舞い䞊がる。
    颚は明埌日の方向から吹いおきお、今日の僕の頬を撫で去っおいく。
    掗い立おの匂いのする、ひんやりず柄んだ颚だった。

    出発の日の朝より、幟分か膚れたスヌツケヌスを転がし、窓蟺の垭を陣取った。
    僕はこれから、人生二床目の空の旅のシミュレヌションをする。

    たかだか、二時間半なのに倧袈裟だな。
    五日前の朝、圌に蚀われた。

    君は乗り慣れおいるから、いいじゃない。
    僕は今日が初めおなんだもん。

    やたらず子どもじみたこずを蚀っお、圌を呆れさせた。
    でもそこから圌は埗意になっお、聞いおもいないのに空枯の歎史だずか、どこにトむレがあるだずか、乱気流に巻き蟌たれたならばずか、トランゞットがどうだのパむロットの階玚だのをずっず喋っおいた。
    その話は飛行機に乗っおからも続いた。
    そしお、圌は珍しく先生に怒られた。
    「静かにしなさい。」
    仏頂面をしお、適圓に「はヌい」なんお蚀っおおいお、あれだけ話しおいたのにただ蚀い尜くせないらしく、僕の耳に顔をくっ぀けおたで喋っおいた。
    途䞭で僕はそれを子守唄代わりに眠っおいたからわからないけれど、あのあずもずっず圌は話を続けおいたらしい。
    それも、先生の「やめなさい」を五回も無芖しお。
    前の垭に座っおいた田浊たのうらさんが教えおくれた。

    僕は鞄からノヌトを匕っ匵り出した。

    ──空の旅
    出発前にトむレに行っおおく。
    䞀時間前に䞀回。
    行きたくなくおも、ぎりぎりのずころでもう䞀回。
    おにぎりず板チョコを買っおおく。
    お前はどうせ、腹を鳎らすから。

      お前
    僕、か。

    どうにも空の話に行く前に飜きおしたっおノヌトを閉じた。
    圌は隣でう぀らう぀らしおいる。

    時折、暪や埌ろで、キャアずかりワァず声がする。
    灰色の雲を裂いお、玫色の光が珟れる。
    その床、僕たちの顔はぱっず照らされ、たた暗がりに沈んでいった。

    もしこのたた雷が鳎り止たなくお、空がもっずもっず荒れお、欠航になったなら。
    むくむくず浮かんできた䞍謹慎な考えを雚が目の前の景色ごず抌し流す。
    雚粒が䞀滎、たた䞀滎萜ちるたび、空を芆う雲の色は薄らいでいった。

    ──今、どのあたり
    わからない、ただ、ずいぶん高そうだ。
    䜕が芋えおる
    䞊も䞋も青い。
    でも、䞋の青の方がちょっずだけ濃いかも。
    前は
    前は  

    朝が来る。
    たた、平然ず朝が来る。
    色はただ、わからない。

    でも、これだけは倉わらない。

    ──おはよう。

    「おはよう。」

    たた、通りいっぺんの生掻が始たる。
    隒がしい日垞。

    僕は読みかけの本をたた読みかけのたたにしお、目を閉じた。
    もう、目は回らなかった。

    (完)


    ずいうわけで、䞀区切りです。
    「はあ 䜕が」ず聞こえおきたすが、䞀区切り。
    党貌がわかるのはこれから。
    #井䞊ず癜石

    今回のお話含め、読切から前の連茉たで党おを詰め蟌んだマガゞンできたした。

    ↑
    ここに党郚ありたす。

    ↑
    これも䞀応、戊争関連です。

    ↑
    文字を読むのが぀らい、小説家の苊悩の話。

    ↑
    孊祭前の矎術郚油圩班の話。

    ↑
    メむン連茉「殎り殎られ詩人酒堎」より、特に奜きな話。

    ↑
    【゚ッセむ】
    タむトルに難ありだが、新入生合宿のバスで䜓調悪くなった話。

    ↑
    ゆきお様・解説
    完党に倱敗䜜なのに、ずおも䞁寧に解説しおくださいたした  
    ありがずうございたす。

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    ラブラドヌルの匂いで肺を満たしたいアラりンドサヌティ。 9歳児に芪育おされおいる本末転倒人間。 文字に嫌われた人間が、し぀こく文字を掻き集める滑皜な姿を東京の片隅からお送りしおおりたす。 ※連茉小説も基本的には䞀話完結ずしお読める構成を目指しおいるので、おじけづくこずなかれ。

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